2年目の夏、「見る阿呆」卒業しました 阿波おどり愛つのらせた新人記者
「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損損」。徳島県の阿波おどりと言えばこのセリフ。一度は耳にしたことがあるのではないだろうか。昨年春、新人記者として徳島支局に赴任した私(24)は、8月のお盆期間に阿波おどりを取材し、息の合った踊りや「ぞめき」と呼ばれるおはやし、街の雰囲気、全てに魅了された。そして徳島生活2年目の今年、「見る阿呆」から「踊る阿呆」になった。(共同通信=伊藤美優) ▽日本三大盆踊りの一つ 400年を超える歴史を持つと言われる阿波おどりは、日本三大盆踊りの一つとされる。毎年8月12~15日の期間中、徳島市には県人口より多い100万人を超える見物客が訪れる。踊り手グループの「連」は県内外にあり、新型コロナウイルス禍前は200を超える連が市内複数の演舞場に繰り出した。 ▽有名連で「女法被」に 阿波おどりには、主に男踊り、女踊り、鳴り物の三つのパートがある。私が選んだのは、女性が男踊りをする「女法被」。しゃなりしゃなりと踊るよりも、元気よくはつらつとした女法被が自分には似合うと思った。特に優れた技量と知名度がある有名連で、女法被もある「蜂須賀連」の門を叩いた。
▽洗礼を受けた初練習 昨年10月。連のお盆明け初練習から週に2回通った。市立中学校の体育館で1時間半、みっちり踊る。最初の1カ月は足の基本動作だけを繰り返す。鏡の前で膝を曲げ、体を上下させながら、前傾姿勢でリズムに乗って進んでいく。 膝を外側に開き、前から見たときにひし形になるよう意識する。背中は丸めず、胸も張りすぎず。さらに出した足はつま先を立て…。うーん難しい。「手を上げて、足を運べば阿波おどり」という言葉があるが、絶対うそだ!(泣)と思った初日だった。 ▽「コロナ、いけたん?」 ところで、徳島の代表的な方言に「いける」という言葉がある。「大丈夫」という意味だが、練習初日、久しぶりに会う連員同士「コロナいけたん?」と心配する言葉が飛び交う光景が広がった。昨夏の阿波おどりは、出演者だけで少なくとも800人を超える感染者が発生したとみられる。 「うちの連も、出演者は最初80人くらいいたのに、最終日には60人くらいまで減っていた」と岡本慎治連長(58)は振り返る。連内の感染は阿波おどり後も続き、最終的に蜂須賀連だけで40人以上が感染した。