Bリーグの開幕2連戦に見えたプロの魅力と問題点
一方、「アジアや世界の壁を打ち破りたい」と大河チェアマンが宣言するように、高いレベルを追求していくというBリーグのビジョンに基づき、各チームの年俸総額を青天井にした背景もある。チームの資金力に応じて戦力均衡の不公平は生まれるが、確かにA東京は、真剣勝負の中に、プロらしいプレーを随所に見せてくれた。子供たちの憧れにつながるような高度なテクニックだ。 元企業チームの代表として高いレベルのプレーを披露してくれたスター軍団と、沖縄という地域で成功例を作ったチームとの開幕2連戦が、訴えかけたメッセージは、とても意義深かった。 開幕戦のフジテレビ系列の視聴率5.3%は、ある意味、当然といえば当然。この日、スマホのLINEライブを約300万人が視聴し、公式サイトが約400万PVを記録したことが発表されたが、岸本も、田中大貴も、バスケットファン以外の一般の視聴者は、まだ詳しくは知らない。すでに押しも押されぬスターだった“三浦カズ”ら顔と名前が一致するスターがたくさんいたJリーグの開幕時とは、そもそもの下地が違う。今は、話題先行で視聴率を稼ぐよりも、そのバスケットの楽しさ、中身を評価してもらって、今後、そういうものが後からついてくる方が健全だろう。 川淵三郎(日本バスケットボール協会エグゼクティブアドバイザー、Bリーグ名誉会員)というグローバルな視点を持つ人物がいなければ、成し遂げられなかったリーグ統合、そしてBリーグのスタート。 A東京のヘッドコーチの実弟でもある伊藤大司(29)はクロージングセレモニーでこう宣誓した。 「この2日間、これまで味わったことのない素晴らしい雰囲気でプレーができました。スポンサー、メディア、ブースターの皆さんのおかげです。ここからは、選手がさらにレベルアップしたプレーを見せ、面白い、また見たいと思ってもらうように頑張りたい」 そう。ここが始まりである。大きな可能性を秘めた夢のプロリーグがスタートしたのだ。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)