Bリーグの開幕2連戦に見えたプロの魅力と問題点
最低年俸は決めたが、bjリーグと違ってサラリーキャップを作らなかったBリーグは、当面、企業をバックに持つチームの天下だろう。トヨタが前身のA東京も、ギャレット、竹内という大型補強をしていて、琉球の岸本も「完敗。認めざるをえない力の差があった」と言う。伊佐ヘッドも「サイズ、フィジカル面で今までのリーグの相手とは違うと思った」とオブラートに包みながら元企業チームの戦力の充実を指摘した。 B1の残り16チームは明日から開幕を迎えるが、大型補強をしているチームのほとんどが、元NBLのチーム。外国人選手は、チームの戦術にアジャストするかどうかが重要で、A東京のようにビッグマンを竹内で埋めたため、異例とも言えるPGのポジションに外国人のギャレットを獲得して、うまくアジャストさせたチームが、他にも出るかどうかは未知な部分。しかし、60試合を戦う長いシーズンを考慮すると間違いなくフロントの揃えた戦力差が最終的な勝敗につながってくるだろう。 また元bjリーグ側には、さらなるハンディもある。ルールの問題。bjリーグは、エンタテイトメント性を重視して、NBAルールを参考にルールを作っていたが、BリーグはNBLと同様、基本的には、FIBAの国際ルールに、のっとっていてレフェリーの笛への戸惑いも見えた。 bjリーグでは、ゲームの流れを優先してトラベリングなどの反則は、多少甘く流していたが、この開幕2連戦では厳格にとられ、琉球の選手がトラベリングの反則で笛を吹かれるケースが目立った。また公式使用球も、bjリーグが使っていたスポルディング製ではなく、NBLで使われていたモルテン製が採用された。モルテン製は、スポルティングのそれより若干大きく、滑ると言われていて、実際、この2日間、琉球勢が手を滑らせボールを失うシーンもあった。 だが、琉球のbj時代の創設メンバーで、今なお戦力としてチームを引っ張る31歳の金城茂之に、その点を聞くと、「トラベリングを取られましたが、自分としては、思い当たる節はあるし、レフェリングは正しかったと思う。それらの違いにはチームとしてアジャストしていかねばならない」と言い訳にしなかった。 開幕戦では“雑草”と評された琉球が、A東京の緊張から来るミスも誘いながら緊迫のファウルゲームにまでもつれこませた。この日もアイデアあふれるオフェンスで崩す寸前までの形は作った、シュートを落としたが、それらが決まっていれば、もっと接戦となる可能性はあった。 金城は、「弱点を長所に変えていかないといけない。僕たちにはスピードがある」と言った。 伊佐ヘッドも続けた 「身長は伸びないんだから(笑)もっとスピードをつけていく。課題のフィジカルはスピードで補う」 スピードと運動量に溢れる琉球のバスケットを勝利につなげることはできなかったが、サイズやフィジカルをスピードで凌駕するバスケットで勝てば、それは日本が世界に勝つためのヒントになるかもしれないし、そういうジャイアントキリングにこそ、人々は興奮、感動を覚える。そんな戦いの構図は、初年度のBリーグの魅力にもなるのかもしれない。