【藤井勘一郎のBC観戦記】またルメール騎手と来たい! 勝利はならずも関心を集めた日本馬たち
東スポ読者の皆さんこんにちは、藤井勘一郎です。 今回は、初めてのブリーダーズカップ(BC)現地観戦を、クリストフ・ルメール騎手にフォーカスを当ててお届けしたいと思います。私は現在、ルメール騎手が立ち上げたアパレルブランド「CL by C.ルメール」をサポートしており、2週間に1度ブランドの公式サイトでブログを執筆しているのですが、今回は米国から競馬の魅力をファンの皆さまに発信できることを本当にうれしく思います。 【写真】武豊とルメールのニッコリ笑顔ツーショット 今年のBCは、2021年に矢作厩舎のラヴズオンリーユーとマルシュロレーヌが勝利を収めたデルマー競馬場で開催され、多くの日本馬が参戦しました。西海岸にあるサンディエゴという温暖な場所に位置し、年に10回程度しか雨が降らないという、競馬開催には持ってこいの気候です。タクシーの運転手も「この4か月間、一度も雨が降っていないんだ。ブリーダーズカップは大きなイベントで、ラジオでもレースのことを話しているよ。朝から多くの人が競馬場に向かっているね」と話すほど、地元でもBCの存在の大きさが感じられました。 ルメール騎手は、レース開催週の初めにサンディエゴ入りし、火曜日の調教に参加。彼の騎乗馬は、BCジュべナイルターフスプリントのエコロジーク、BCターフのローシャムパーク、そしてBCクラシックのデルマソトガケです。日本馬への関心が高まっている今回、彼は英語、フランス語、スペイン語、日本語でのインタビューをこなしました。「日本馬がそれだけ注目されている証しでしょう」と話していましたが、その期待を一身に背負っての挑戦となりました。 初日のエコロジークは現地で1番人気に支持され、実力も高く評価されていました。ただ、道中は中団から外に出しましたが、直線は思いのほか伸びず、8着に終わりました。ルメール騎手は「スタートで少しつまずき、他馬にぶつけられる不利もありました。道中のポジションは悪くなかったですが、ハミをずっとかんでいたので最後の伸びにつながりませんでした。この馬はまだキャリアが浅いのでこの経験は今後の日本でのレースにつながっていくと思います」と、今後への期待を口にしました。 2日目のBCターフでは、ローシャムパークと見事なパフォーマンスを見せました。スタートダッシュがつかずに最後方からじっくりと運ぶ形になりましたが、2周目の向正面半ばからポジションを上げると、直線では勝ち馬を猛然と追いかけました。惜しくも僅差の2着に終わりましたが「スタートは遅かったですが、この馬は道中行きたがるところがあったので、スローペースの中でも折り合いに専念しました。3コーナーでは内で包まれている馬がいる中、自分から上がっていけました。距離は2000メートルがベストだと思うので最後は少し苦しくなりましたが、直線に入ったときに勝ち馬は4~5馬身前にいたことを考えると、よくあそこまで迫ってくれました」と満足そうな表情で振り返りました。 BCクラシックのデルマソトガケはスタートしてからジワジワと先頭に立ち、マイペースで進みましたが、3コーナーで1番人気の馬にかわされるとそこから下がっていってしまいました。「スタートが良く楽にハナに立てましたが、外から人気の馬にずっとプレッシャーをかけられる厳しい展開でした。3コーナーで前に出られるとそこで私の馬はいっぱいになりました。今回はブリンカーを装着してのレースでしたが、この馬はマイルの方が合っているかもしれません」とルメール騎手。 BCの2日間、私は車椅子でパドックやスタンドを移動し、一眼レフでレースや観客を撮影していました。ローシャムパークが直線で勝ち馬に迫った瞬間は、本当に胸が高鳴り、これまでにない感動を覚えました。ルメール騎手はBCを振り返り「ジョッキールームでは、ドバイワールドカップのとき以来、久しぶりに他国のジョッキーと顔を合わせることができました。今回乗った3頭の馬の関係者には、日本とは異なる環境の中よく馬のコンディションを調整してくれて感謝していますし、私も競馬に勝つためにベストを尽くしました。来年もまたここに帰ってきたいです!」と語りました。もちろん私にとっても、また来年ここでルメール騎手と日本勢を応援したい、と強く感じるような最高の2日間となりました!
東スポ競馬編集部