「判定を完全に納得してもらうのは難しい」“必ず”起こる批判…西村雄一氏はどう乗り越えてきた?「審判でしか味わえない」特権も
「例えばブラジルW杯の開幕戦であれば、私はPKと判断しました」
今季限りでトップリーグ担当審判員を勇退し、JFA審判マネジャーに就任する西村雄一氏が12月19日、東京都内で記者会見に出席した。 【画像】セルジオ越後、小野伸二、大久保嘉人、中村憲剛ら28名が厳選した「J歴代ベスト11」を一挙公開! 現在52歳の西村氏は、Jリーグで682試合を担当。国際審判員としても活躍し、2014年に行なわれたブラジル・ワールドカップの開幕戦など、大舞台でも笛を吹いてきた。 冒頭の挨拶では、自身に関わった全ての人に感謝の思いを伝えたなか、まず選手に対して「本当に素晴らしいプレーを間近で体感できたことが、審判活動を続けていく大きなモチベーションとなっていました。これは本当に審判でしか味わえないことなので、選手の皆様が作り出してくれた素晴らしいプレーに心より感謝を申し上げます」とコメントした。 試合の数だけ、後悔や批判があった。それでも決して立ち止まらず、前に進むために「1番大切にしているところは、全てを受け入れること」だという。 「責任を持って1つの判断をしますが、それが必ず合ってる、必ず皆さんに納得していただけるとは限りません。『おそらく違うんじゃないか』といった意見も絶対出てきます。それも含めて、『1番皆さんが納得していただけるのに近い判定をしよう』と心掛けていることがスタートになります。 例えばブラジル・ワールドカップの開幕戦であれば、私はPKと判断しました。なかなか納得は得られなかった事実もあると思っています。それもちゃんと受け入れています。もしあれをPKと判断しなかったら、おそらく『見逃された』って批判を受ける形になるわけですね。どちらにしても、結局レフェリーの判定を完全に納得してもらうのは難しいです」 レフェリーも人間だ。当然ミスはある。「やはり思い返しても、どの試合でも必ず修正点があるので、試合数分上手くいかないことがありました。掛ける2とか3してもいいかもしれないんですけど(笑)。完璧にできる試合はないです」と伝えた西村氏は、後輩たちへこうエールを送った。 「ミスを恐れずにチャレンジを続けること。これに尽きるかな。ミスをしたくないから自分のパフォーマンスが発揮できないってなるよりは、勇気を持ってチャレンジし続けた方がいい。これはマネジャーとなって大切にしていきたい考え方です」 審判マネジャーとして、サポートする側に回る西村氏の新たなチャレンジに注目だ。 取材・文●有園僚真(サッカーダイジェストWeb編集部)