2025年、宙づり国会を操るのは国民民主党か?決定的な交渉力の源泉となる2つのデータ
(足立 康史:日本維新の会・前衆議院議員) ■ 1.ハングパーラメント(宙づり国会)の歴史 【写真】一番大事な11月を棒に振り、キャスティングボートを譲った日本維新の会 2024年の政界は、前年の秋に顕在化した「パーティー裏金事件」をきっかけに自民党への批判が沸騰し10月の総選挙で自公与党が過半数割れ、戦後政治の中でも珍しいハングパーラメントが誕生した。 もちろん、これまでも選挙の結果、従来の与党が過半数割れすることがあるにはあったが、連立工作や無所属議員の追加公認等により多数派内閣を樹立することに成功してきたのが戦後日本の政治史だった。 例えば、日本国憲法施行後最初に行われた1947年総選挙では、社会党が自由党以外の少数政党と連立を組んで片山哲内閣を樹立したし、1983年の総選挙で過半数割れした自民党は、新自由クラブと連立し第2次中曽根内閣を成立させた。 1993年の総選挙で自民党が過半数割れすると、キャスティングボートを握った日本新党と新党さきがけを中心に非自民連立政権=細川護熙内閣を樹立した。 その後は、政権奪還を目論む自民党が非自民連立政権を離脱した社会党を取り込み、いわゆる自社さ政権=村山富市内閣を樹立し橋本龍太郎内閣へとバトンを繋いでいった。 そして、1999年1月の小渕恵三内閣における自由党との自自連立、同年10月の自自公連立、そして、2009年の民主党中心の民社国連立および翌年の民国連立を挟みながら、四半世紀にわたる自公連立政権が今に至るまで継続するのである。
■ 2.解消されることなく年を越した「宙づり国会」 こうした経緯を踏まえると、いわゆるハングパーラメント(=宙づり国会)自体は新しいことではない。 もちろん、衆議院における本格的なハングパーラメントは1993年の自民党下野以来31年ぶりとなるため、永田町に衝撃が走ったが、今回のハングパーラメントの際立った特徴は、そうした「宙づり状態」が連立等により解消されることなく、あるいは政権交代することなく、少数与党のまま組閣され、昨年の臨時国会も平穏に閉幕したことにある。 そして、石破茂内閣は発足当初こそ不安視されたが、ふたを開けてみれば野党間の鍔迫り合いを利用して分断を図り大過なく補正予算を成立させた。 年末の会見でも石破総理は、国会運営を振り返り「熟議の国会にふさわしいものとなった。少数与党で自分たちの意見がそのまま通るわけではないが、一歩でも前に進むことが大事」としつつ、「ハングパーラメントの妙味を最大限生かしながら目指すべき日本を確立したい」と余裕さえ見せた。