ファッションの“情熱”を振り返る展覧会
京都服飾文化研究財団が所蔵する衣装コレクションから現代の“私”を見つめ直す
2024年11月24日(日)まで、京都国立近代美術館で展覧会『LOVE ファッションー私を着がえるとき』が開催中。京都服飾文化研究財団(KCI)が所蔵する衣装コレクションを中心としたファッション、そして現代アーティストの作品から“私”という存在を考える。
1980年以降、8度に渡って共同でファッションの展覧会を開催してきた京都国立近代美術館(MoMAK)と京都服飾文化研究財団(KCI)。これまでに、『モードのジャポニスム』(1994)、『身体の夢』(1999)など、いろいろな切り口で“美術館における衣装展”を行ってきた。 新しくはじまる展覧会のテーマは“LOVE”。京都服飾文化研究財団(KCI)が所蔵する18世紀から現代までの衣装コレクションとともに、人間の根源的な欲望を照射する現代アートも紹介。ファッションとともに21世紀の絵画や写真を通して、さまざまな“LOVE (情熱や願望)”の形を考える内容になっている。 本展を構成するのは、着ることにまつわる欲求。「自然にかえりたい」「綺麗になりたい」「ありのままでいたい」「自由になりたい」「我を忘れたい」という5つのキーワードから成る。 はじまりを飾るのは、「自然にかえりたい」と題したセクション。各時代に現れた動物素材や植物柄のファッションが展示される。華やかな花柄が刺繍された18世紀の男性用ウエストコート、20世紀前半に流行した鳥の羽根やはく製が装飾された帽子、毛皮不使用や環境保護を標榜するエコファーのコートなどに加えて、人間の毛髪を素材とした小谷元彦の作品も並ぶ。 「綺麗になりたい」というセクションでは、衣服の流行を作り上げてきた美への憧れを思わせるディテールに迫る。19世紀の身体美の要を担ったコルセットや、布地の芸術作品として卓越した造形で魅惑するクリストバル・バレンシアガなど、20世紀中葉のオートクチュール作品が中心。そのほか、〈ヨウジ・ヤマモト〉や〈ジル・サンダー〉など現代ファッションとともに、衣服のかたちに現れた多様な“美しさの創造力”が集結する。