【神宮大会】早大が2回戦で敗退 小宮山悟監督は「打てない。その1点だと思います」
徳武さんの直筆メッセージ
どうしても、勝ちたい理由があった。計18年にわたり、早大の打撃コーチを務めてきた徳武定祐さんが11月14日に逝去。小宮山監督は22日の葬儀・告別式の弔辞で、徳武さんの遺影の前で「最後に神宮大会に勝って、日本一で送り出したいと思っておりますので、もう一度、申し訳ありませんが、最後にお力添えを、よろしくお願いいたします」と述べたが、無念の初戦敗退となった。この日、一塁ベンチのホワイトボードには2022年、徳武さんが学生に寄せた直筆メッセージが貼られていた。そこには、打撃の指示が書かれていた。 10月24日のドラフトで楽天5位指名を受けた三番・吉納翼(4年・東邦高)は、ことあるたびに徳武さんに助言を求めていた。「早稲田のユニフォームを着て戦える幸せを感じなさい、と言われていました。厳しく接していただきましたが、打った時は褒めてくれました。良い報告ができず、とても悔しいです」と振り返った。徳武さんからもらった言葉「泰然自若」を、プロ入り後も貫き、故人の遺志を継いでプレーすることを誓っている。 勝負事は必ず、勝者と敗者に分かれる。最後まで「WASEDA」の誇りを胸に、堂々と戦った。天国にも必ず、届いたはずだ。 今年6月の全日本大学選手権では、青学大との決勝で惜敗。「打倒・青学」を目標に、今秋のリーグ戦では9年ぶりの春秋連覇を達成した。明治神宮大会では力を出し切れなかったが、4年生の功績はしっかりと残る。試合後、早大のメンバーは一塁スタンドへのあいさつを終えた後、ベンチには戻らず、しばらくグラウンドで立ったまま、スコアボードを見つめていた。涙を流す選手もいた。3年生以下は、悔しい現実を受け止めた。2025年春、さらに良いチームになって神宮に戻ってくる。 文=岡本朋祐
週刊ベースボール