「上海ショック」で崩壊した中国「ゼロコロナ神話」――名をあげた老臣と躓いた政界の寵児
ロックダウン中の上海のゴミ収集作業員(4月23日) (C)Graeme Kennedy/Shutterstock.com
中国・上海のロックダウン(都市封鎖)が中国を揺るがしている。誇張ではない。上海は中国のサプライチェーン(供給網)の中核であり、いわゆる「世界の工場」を支える心臓のような存在だからだ。市民への外出制限は3週間以上になり、あちこちで不満が爆発。隔離者の自殺などの悲劇も起きている。 習近平指導部 の徹底した「ゼロコロナ」政策が裏目に出て、負の側面が一気に吹き出した格好だ。過去2年の成功体験に縛られる当局に対する市民の視線は日に日に厳しくなっている。それは習指導部に態度変更を迫るほどの圧力を持ち始めた。 中国の微信(ウィーチャット)上では「四月之声」という上海市民の訴えを収録した動画がアップされ、すぐに削除されては、再び誰かが投稿するということが繰り返されているようで、都合の悪い声は圧殺するという中国当局の最も悪い癖が出ている。動画は転載によりYoutubeで見られる。 最初に基本事項を確認しておきたいが、上海は人口約2500万人。通称「魔都」。小国の人口にも匹敵する規模の住民の隔離はそもそも無理がある。加えて、中国最大の経済都市である。コンテナ取扱量世界トップの上海港と、2 つの空港を抱える物流の一大中心地で、豊かな長江デルタの人とモノの流れが集中する。上海証券取引所を抱えて金融センターとしても機能し、外資系金融機関が拠点を置いている。
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竹内健二