グッバイ行列 どうなる帰省ラッシュ 博多駅は…JR各社の混雑対策
暦通りに休めば9連休になる年末年始。新型コロナウイルス禍から移動需要が本格的に回復し、主要駅では帰省客ら多く人の往来が予想される。JR各社によると混雑のピークは早いところでは下りが28日、上りが1月3日。福岡市の博多駅でも混雑が予想され、JR九州やJR西日本は緩和に向けた対策を取る。 「グッバイ!行列、ハロー!最速乗車」。JR九州は、こんな広告でチケットレス(チケレス)サービスをPRする。福岡県出身のお笑いコンビ、博多華丸・大吉さんがチーター柄のスーツ姿で改札を通る様子で、速さを表現している。 9月下旬に始めたチケレスサービスは、在来線特急など対象となる切符をインターネットで予約購入すれば、スマートフォンなどにQRコードが表示され、それをかざすことで自動改札機などを通れる。 JR九州は2022年3月、コロナ禍に伴う利用者の減少で切符販売の窓口を減らしたり、営業時間を短縮したりするなどした。その影響で混雑が起きた。 混雑解消に向けて検討されたのがチケレスサービスだ。交通系ICカードを使う方法もあったが、JR九州でICカードを使える駅は571駅のうち305駅と限られる。QRコードなら、壁に掛けた読み取り機でも利用でき、家族など複数で利用する際には無料通信アプリ「LINE(ライン)」やメールなどでチケットを送れるようにした。 サービスの対象は、九州北部の博多発着の在来線特急や九州新幹線長崎ルート(西九州新幹線、武雄温泉―長崎)になる。多い日では購入者の7割が、このサービスを利用している。博多までの特急列車の利用者が多い佐賀駅では4割、博多駅でも2~3割の発券が減ったという。 JR九州の鉄道利用者は、近距離の利用はコロナ禍前を上回っているものの、ウェブ会議や在宅勤務など新しい生活様式の定着で、中長距離や定期券の利用者が減り、全体ではコロナ禍前の94・6%の水準にとどまる。 営業部企画課の寺林勇貴副課長は「チケットレスサービスを7割程度の方にご利用いただき、行列解消につながっている。年末年始にどれくらいのお客様が駅を利用されるかわからないが、サービス導入前と比べれば、博多駅では少なくとも2割ほどの混雑緩和ができるのではないか」と説明した。 JR西日本とJR東海は、新幹線「のぞみ」を全席指定にする。のぞみの全席指定化は昨年の年末年始、今年のゴールデンウイーク、お盆に次いで4回目。JR西日本は27日から来年1月5日に臨時列車を含め1日当たり316本を運行する。 JR西日本によると、のぞみの全席指定化で「並べば安く行ける選択肢を奪うのでは」といった心配もあったが、実際に始めてみると「安心して席を選べるようになった」「もう少し早くからやってほしかった」といった好意的な声が多く寄せられているという。 博多駅では、自由席を求めて早い時間からできていた行列も、ホームからなくなった。JR側は、自由席を設定している他の新幹線を利用する人たちの安全対策に駅員を振り向けられるようになったという。 JR東海も年末年始期間に臨時列車を含め1日当たり429本を走らせる。広報担当者は「ホームで自由席を待ち並ぶ人たちはほとんど見られなくなり、乗車時間もかからず、定時運行することにもつながっている」と説明した。 JR西日本の吉井彰浩・博多駅長は「席を確保するときには、パソコンやスマホから予約できる(ネット予約のチケットレスサービス)EX予約やスマートEXを利用してもらいたい。混雑時間帯を外せば席に余裕はあるので、座席を確保して快適にご利用いただきたい」と話した。【下原知広】