「会社でいじられるから月曜日が憂鬱…」50代オバさんたちが繰り広げるソフトいじめ。職場のいじめはなぜなくならないのか?
いじめと聞くと学校社会を連想する人が多い。しかし、大人の社会にもいじめは存在する。危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はこう話す。 「厚生労働省が発表している個別労働紛争解決制度の施行状況でも明らかになっているように、個別労働紛争における相談、助言・指導の申出、あっせんの申請すべての項目でいじめ・嫌がらせの件数が最多になっています。10年で2倍なっていることを考えるとかなり深刻です」。 子供の手本になるべき、大人がいじめを犯してしまう。そこには一体何があるのだろう。 「いじめの裏には、パワハラやセクハラ、長時間労働などが潜んでいることも多いと聞きます。精神的に追い詰められていて、いじめを跳ね返したり、訴える力が残っていないことも大きな問題でしょうね…」。 今回はいじめにあった経験をある女性から聞いた。 -----------------
橋本まなみさん(仮名・40歳)は、転職した会社でいじめにあって、この春退職を決意した女性だ。 「事務をやっています。実は転職は初めて。子供が高校生になったので、少しキャリアアップをしてみようとチャレンジした職場でした」。 これまで長く働いてきた会社は、人間関係も良好で苦労したことはあまりなかったと言う。 「べったり仲良しって感じではありませんでしたが、みなさん大人でドライ。適度な距離感を保っていた感じがします。中小企業でしたし、上に立つ方が立派だったということでしょう。こんなことなら、頑張って転職なんてしなければよかったと後悔をしているところです」。 まなみさんをいじめの標的にしたのは、大手企業のお局軍団だった。 「実は入社後、すぐに衝撃を受けました。なんていうのかな?学生みたいなんです。仲良しグループみたいなものが出来上がっていて、なかでもお局軍団はタチが悪かったですね…」。 50代後半の定年間近のお局を中心にそれに群がる30代、40代。合わせて4人の集団だったそう。 「事務は15人くらいいるんですが、その軍団だけ控えめに言ってレベルがすごい低い。中学生のいじめみたいなことを日常的に行っているんです。正直子供のいじめよりひどいっていうか、バブル時代から時が止まってんじゃないですかね?あの人たち」。 まなみさんが衝撃を受けたのは、群れない一匹狼の女性社員に対する対応だ。 「対応なんてものじゃなくて、あれは明らかに嫌がらせです。彼女の着てる服にダサいとか聞こえるようにいちゃもんつけたり、飲み会で色目使っていると変な噂ながしたり…見たり、聞いたりしているこちらも病みそうでした」。 まなみさんはあまりの対応に女性社員に聞いたと話す。 「あんなに言われたい放題でいいんですか?って。だって彼女、仕事は普通にできますし、そんなこと言われる人じゃないと思うんです。でも何を言っても変わらないんでって諦めた口調でしたね。彼女が教えてくれたのは、部長もお局軍団の言いなりだってこと。嫌われると面倒だからいい子ちゃんしといたほうが身のためですよって言われたんですけど…」。
部署内の飲み会でのことだ。まなみさんは、席移動で隣に座ってきた若手男性社員と会話がもりあがったという。 「彼も私もアメフト好きで、あんまりそんな人いないのでかなり盛り上がりました。コレがいじめの引き金になるなんてそのときは思いもしませんでした…」。 まなみさんはお局たちのいじめの標的になる。 ー若手のホープに色目使ってたの見た? 月曜の朝。出社したまなみさんに聞こえるようにお局たちがささやく。 ー自分が若いとでも思ってんのかな? 【後編】では子供のいじめより幼稚なそのやり口を暴いていく。 取材・文/悠木 律