運行が広がる地域交通の救世主「グリスロ」 カート、バス型で住宅地や観光地を巡回
観光に活用するケースもある。茶の産地として知られる京都府和束(わづか)町は日本遺産「日本茶800年の歴史散歩」の構成文化財「石寺の茶畑」そばの細い道などでカート型の電動車を走らせている。この道は車が入りにくいため町が導入した。運行は3~11月の土、日曜日と祝日、振り替え休日で、1日4便が走る。
宮崎市では中心市街地の活性化に活用されている。市などでつくる協議会がJR宮崎駅前で人々に周辺を回遊してもらおうと開始。バス型の電動車が1周約2・1キロのコースを12分間隔で運行し、商店街の中も通る。市によると、「車体がかわいい」と人気で、5年度は約5万4千人が利用した。
■地域巡るには十分
グリスロに詳しい東京大公共政策大学院の三重野真代(まよ)特任准教授(地域交通)は「日本の道路は狭く、小回りがきくグリスロはニーズが高まっている。時速20キロ弱はトップクラスのマラソンランナーと同じくらいで、地域を巡るには十分。公共交通の補完手段であり、高齢化がさらに進むと普及していくと思う」と展望する。そのうえで「車両価格は数百万円するが、もっと広がれば、量産され価格低下につながると期待したい」と話している。(張英壽)