女医やバリキャリ、エリートサラリーマンに漫画家まで……歌舞伎町でカネを使いまくる太客の正体
そんな居心地のよさに惹かれ、やがてタツキの足は自然と歌舞伎町のホストクラブに向かうようになった。最大の魅力は、「男に褒められることの気持ちよさ」だという。 「男社会を知らない女性に仕事とか経歴のことを褒められてもまったく気持ちよくない。でも、競争社会を生きているホストに褒められると、ちゃんと俺を見てくれてるなって思えるんです。もちろん向こうは仕事でお世辞を言っているのはわかっているんですが、同じ男同士で色恋が通じないからこそ、本当の自分を評価してくれている気がする」(タツキ) 仕事の合間を縫って、月2回ほどホストクラブに通っているタツキ。さまざまな店舗を巡り、「推し」ホストもできた。 「同じ野球経験者のホストさんなんです。カッコいいのに気取っていないところが好きですね。彼が『シャンパン入れてもらうのって本当にありがたい。本気で声出して恩返ししたい』と言っていたので、ボーナスが出たらシャンパンを入れてあげるつもりです」 日々、仕事の良し悪しで社内評価を下されているタツキは、シャンパンを入れるとそのホストがどれだけ店で評価されるのかも知っている。「一緒に夢を追いかけよう」が、ホストが女性客に語る常套句だが、男だからこそ、女性とは違う視点で「ホス狂う」人間もいるのである。
● やっぱり女医は強い! ホスクラ豪遊の実態 世間は不況でも、歌舞伎町のホストクラブでは今日も「太客」が大金を使っている。国税庁の「民間給与実態統計調査」(2021年)によると、女性の平均年収は302万円。 そんななかで太客たちは、毎月、平気で数十万円以上をホストクラブに落としている。彼女たちはいったい、どんな職業に就いているのだろうか。 「ホストに通うために、ひたすらバイトを詰め込んでいます。休日はほとんどないですね」 そう語るマユミ(仮名・27)の職業は医師だ。彼女は普段の病院勤務に加え、高額なスポットアルバイトを行っているという。 「夜勤は時給が高いから、普段勤務している病院では希望して深夜帯に働いています。スポットアルバイトでは、人手不足の病院に行ったり、大規模会場でコロナのワクチンを打ったり。割の良いバイトだと、時給1万円を超えることもありますね。いまは20代で体力があるからこの働き方ができているけど、今後年を重ねたら開業医にならないと厳しいかな……」 マユミのホストクラブでの出費は平均して月40万円前後。十分な大金だ。 「好きな人に会いたい。そのモチベーションがあるから仕事も頑張れる。おかげで、今年は過去最高年収になりました。稼ぐ目的があるって大事だなって痛感しています」 太客にはマユミのような医師が多いが、なかでも羽振りがいいのは美容外科医だ。人気美容外科医のナユカ(仮名・32)が語る。 「インセンティブ制なので、個人の業績を上げれば上げるほど、給料は増えます。いかに客をつけるか、という点では、ホストとあまり変わらないかもしれないですね(笑)」 仕事漬けの日々のなかで「息抜きとしてホストクラブに通っている」と言うが、そのお金の使い方は派手である。 「やっぱり、お金を使ってこそホストクラブは楽しいですからね。毎回、会計は数十万円になります。その代わり、行く回数は少ないですね。仕事を淡々とこなしていると気づいたら勝手にお金が貯まっていく。それを使う機会があることで、自分の頑張りが認められるような気がしています」