女医やバリキャリ、エリートサラリーマンに漫画家まで……歌舞伎町でカネを使いまくる太客の正体
ホストクラブにハマった女性客の自殺や傷害事件、ホストによる乱暴な売掛金取立てなどがニュースを賑わせている昨今。その客層はバリキャリOLや女医などの高収入女性が多い一方、実はホストクラブにハマる男性客もいるという。歌舞伎町の生の声を取材してきた佐々木チワワ氏が、ホストにハマる太客たちの実態をレポートする。本稿は、佐々木チワワ『ホスト!立ちんぼ!トー横!オーバードーズな人たち ~慶應女子大生が歌舞伎町で暮らした700日間』(講談社)の一部を抜粋・編集したものです。 【この記事の画像を見る】 ● キャバクラよりホストに 男性がハマった理由とは ホストクラブと言えば女性のための場所だと思っている方は多いだろうが、実は男性客も一定数いることをご存じだろうか。ほとんどは同業者かキャバクラ遊びに飽きた金持ちオジサンなのだが、なかには「キャバクラはまったくハマらなかったが、ホストは好き」という若い男性もいる。今年社会人2年目になるタツキ(仮名・25)もその1人だ。 両親ともに東大出身、姉も国立大の医学部に現役合格というエリート家庭で育ったタツキは、幼少期から勉強漬けの日々を送ってきたという。 「ゲームやテレビは禁止で、ずっと勉強ばかりでした。塾や習い事がない日に友達の家でゲームをするのが何よりも楽しみでしたね。小学校のときは不良に憧れて悪ガキグループに入っていたけど、どこか馴染めなかったのを覚えています」 高校では県内トップの進学校に通いながら、野球部に所属。そして、一浪して有名国立大学に入学した。タツキは大学でも野球を続け、卒業後は持ち前の勤勉さと体育会仕込みの体力を武器に誰もが知る超一流企業に就職する。 「古き良き日本企業と言えば聞こえはいいですが、セクハラやパワハラがとにかくひどくて……。しかも、体育会系なのを買われて、会社のなかでも一番ブラックな部署に配属されてしまいました。『〇〇大卒のクセにこんなこともわからないのか』とか『へらへら笑ってボソボソしゃべるけどホントに野球部?』って言われたり。挙げ句の果てには、『いまの子はこの程度でもパワハラになっちゃうんだよね(笑)』とか言われるんですよ。体育会出身は自分のアイデンティティなので、全然大丈夫っす!って態度でいますが、実際はかなりキツいですね……」(タツキ) 合コンやキャバクラに行けば、大学や会社の名前でチヤホヤはしてもらえた。しかし、超がつく男社会な組織に置かれた自分の辛い気持ちをわかってくれる人はいなかった。 ● 同じ男同士だからこそ 褒められたら素直にうれしい そんなとき、知人女性から誘われたのが歌舞伎町のホストクラブだったという。単なる興味本位で訪れたホストクラブは、タツキにとって想像以上に楽しく刺激的だったようだ。 「まず、ホストってシンプルに話が面白いんですよ。俺みたいな陰キャには興味のないチャラ男ばかりだと思っていたんですが、キラキラした陽キャや意外とオタクな子もいて。寮生活をしているからか、ホスト同士の仲間意識も強くて、高校の野球部を思い出しました」