日産・ホンダ経営統合! 合同開発でVTEC搭載「シルビア」が登場? 魅力的なOEM車種も? 元ディーラー目線で考える
共同開発で生まれる新たな競争力
日産とホンダの経営統合には、両社にとって大きな戦略的なメリットがある。ホンダは「VTEC」など、エンジン技術において高い評価を受けており、日産はレースで培ったエンジン技術や、実用的な装備として「デュアルバックドア」を搭載したセレナなどを強みとしている。 仮に両社が共同でスポーツカーを開発した場合、VTEC搭載の「シルビア」や「スカイライン」ができるかもしれない。また、ミニバン分野では、先代ステップワゴンに搭載された「わくわくゲート」を改良し、デュアルバックドアを採用した新型が登場する可能性も十分にある。筆者がディーラー勤務時代に 「リアゲートの使い勝手が決め手で商談に負けた」 という経験があるように、この機構は非常に競争力が高い。日産とホンダの技術を融合させたリアゲートが実現すれば、トヨタのノアやヴォクシーに対抗する力を持つだろう。 さらに、日産の「e-POWER」は日本市場で非常に効果的だ。高速道路での燃費低下が課題となり、欧米市場では受け入れられなかったが、軽自動車というニッチ市場では十分に競争力を持つ。例えば、N-BOXにe-POWERが搭載されれば、その市場での地位はさらに強固なものになるだろう。また、日産、ホンダ、三菱の3社による軽自動車の共同開発は、ファンにとって非常に魅力的なコラボレーションとなるだろう。 筆者が現在の自動車販売現場に戻ったと仮定すると、各社の特徴や強みを顧客にしっかり伝えることになるだろう。ホンダはその優れたエンジン技術、日産はe-POWERの可能性、三菱はプラグインハイブリッド車の高い性能など、各社の強みを反映した車種を提案することが予想される。 営業担当者の間では、各社の特徴に対する捉え方に意見の違いがあるだろうが、技術者も同様の見解を持っているだろう。
日産ディーラー効率化の進展
ディーラーの販売現場に立つ立場から見ると、長期的には 「販売網の縮小」 につながる懸念があるだろう。2024年12月23日の記者会見で「日産とホンダの両ブランドは残す方向」と発表されたが、筆者はしばらくの間はディーラーの再編は行われないとの希望的観測を持っている。ただし、日産の影響力が弱まれば、地場の正規販売店である日産ディーラーが厳しい状況に直面することは避けられない。 すでに日本国内では日産ディーラーの効率化が進んでいる。2024年4月には、日産自動車が直営の神奈川日産と日産プリンス神奈川を統合し、「日産神奈川販売」を設立した。このような統合は日本各地のディーラーでも進み、店舗の統廃合が加速する可能性がある。 多くの店舗に少ないスタッフでは効率が悪く、統合による効率化は必要不可欠だ。しかし、長期的にはホンダと日産のブランド統一が進むなかで、さらに店舗の統廃合が進む可能性が高い。 現役のディーラー勤務者、特に若いスタッフにとっては、自身が働く会社の将来について不安を感じているのではないだろうか。
宇野源一(元自動車ディーラー)