「鉄道テロで飛行機が10万円超」「プレスセンター、しょぼい」取材記者が明かす“トラブル続出”パリ五輪取材ウラ話「でも治安は意外と…」
パリからロサンゼルスへ――2028年五輪に向けてサッカー世代別日本代表監督は大岩剛監督の続投が決まった。パリ五輪を取材した記者が見た会見の表情と、五輪本大会でのドタバタ記とは。〈全3回〉 【実際の写真】「み、水の色がヤバい…」セーヌ川で泳がされた選手、「開会式当日に鉄道テロ…」ドタバタすぎた花の都パリ五輪の舞台裏を全部見る
線路テロ→飛行機が10万円超
パリ五輪、男女サッカーの取材をするにあたって、トラブルを含めた移動が非常にせわしないものとなったのは第2回で触れたとおり。特に厳しかったのは、男子の初戦パラグアイ戦後、女子の第2戦ブラジル戦への移動だった。 ブラジル戦2日前の7月26日、フランス高速鉄道TGVの線路が複数箇所で放火の被害にあっていた。パリ五輪開会式をめがけたテロと見られた。死者は出ず、五輪開会式にも影響は出なかったことは不幸中の幸いだった。TGVが被害を受けたのはパリを中心にリール、ボルドー、ストラスブールへとそれぞれ向かう路線で、線路やケーブルが破壊された。そしてボルドーからパリに向かう路線は、まさに我々が使う路線だった。 その時は運悪く、週末。移動を予定している28日いっぱい復旧しない――と当初はアナウンスされていた。そのため、ニュースが流れた直後、鉄道から飛行機移動に変更する同業者もいた。だが、同じことを考える人は五輪関係者以外にも大勢おり、フライトはあっという間に値段が高騰、10万円超と高額になったため私は断念した。 代わりに長距離バスを予約し、鉄道が復旧しなかった場合に備えた。結局鉄道は28日までにどうにか運航再開。バス代こそ無駄になったものの、予定通りにパリに到着しブラジル戦の取材に駆けつけることはできた。ブラジル戦取材に間に合うかは試合当日の朝まで分からず、この時もまたヒヤヒヤしたものだ。もしかしたら、谷川萌々子のスーパーゴールなどでの劇的な逆転勝利を見届けられなかったかもしれないと思うと……。 こんなにも、自分のせいではないトラブルに巻き込まれかける大会は過去、記憶にない。 最後の鉄道トラブルは、ナントからリヨンに向かう時のことだった。 7月31日に女子のナイジェリア戦をナントで取材し、男子が準々決勝を戦うリヨンには8月1日の早朝4時50分の鉄道を予約していた。深夜に原稿を片付けてまだ暗い中、息も絶え絶えに駅に到着、まずは寝過ごさずに乗り込むことを目標にした。だが、待てど暮らせど車両がやってこない。聞けば、この時は前日にヨンヌ県で大雨の影響で大木が倒れたため、TGVの運行に影響がでていたという。 電車がやってきたのは結局7時半を過ぎていた。徹夜明けの早朝4時半ごろから3時間、駅で電車を待つ辛さを想像してみて欲しい。ようやく乗ったTGVでは爆睡、リヨンまであっという間に到着した。
【関連記事】
- 【つづき→】「パリ五輪、大丈夫なのか」取材記者が呆れた運営「あら、試合あるの?」フランス人女性も“その程度の認知度”だった
- 【第1回→】「Jクラブからオファー…自ら切り出す余裕も」U-23日本代表・大岩監督“続投会見”で記者が驚き「グチをこぼすのではなく」LA世代への教訓
- 【実際の写真】「み、水の色がヤバい…」セーヌ川で泳がされた選手、「開会式当日に鉄道テロ…」ドタバタすぎた花の都パリ五輪の舞台裏を全部見る
- 「これまでと違うやり方をした」パリ五輪チーム作りは正解だったのか? 大岩剛監督が振り返る異例のアプローチ…「ポジションの役割明確化」とは
- 「オーバーエイジ候補リストは存在した」大岩剛監督が初めて明かすパリ五輪チーム作り“OA枠未使用”の真相「A代表の“ある選手”も出たいと…」