幸之助も実践した「仕事で幸せになる人」と「ならない人」を分けるたった1つの考え方とは?
3つの課題のひとつ、まず「仕事」は人が所属する集団をとおした社会との関わりです。大人であれば勤め先の会社、子どもであれば学校ということになるでしょう。定年後の人であればボランティア活動のコミュニティーや囲碁サークルといったことになるかもしれません。 次の「交友」は、自分以外の人と意志を疎通して互いに共感しあい、良好な関係のコミュニケーションを保つということです。人は誰もが誰かと関わりながら生きており、その関わりが円滑であれば社会も平穏です。 最後の「愛情」のタスクは、パートナーや家族との関わりということになります。 アドラーの言う人生の3つの課題は大きな捉え方ですので、私たちは、もう少し具体的に3つ考えてみましょう。 「これだけは人生から外せない」という大事な柱を、40代の節目に自分の心の中に3つ立ち上げ、それを指針として50代、60代へ向けて生きてみるということです。 アドラーに関して言えば、そこに通底するのは3つすべてが「世の中のためになる」という概念であるということです。
「仕事」の課題でいえば、働いて給料を上げて高い車を買うというところが究極なのではなく、充実した仕事をすることで社会に貢献するという意識を持つこと、1人ひとりの課題解決が世の中を向上させ、ひいてはそれが個人の幸せにもなるという考え方です。 ● 経営の神様・松下幸之助の哲学は 現代にも息づく「三方よし」 経営の神様と言われた松下幸之助は、人を雇うのは公事のためであるとし、次のような言葉を残しています。 「たくさんの人が働いている企業の中には、いろいろさまざまな職種がある。けれどもそのどれをとっても、1つとして私の仕事はない。みな、その企業が事業を通じて社会に貢献していくために必要なものである。 その必要な仕事をやってもらうために人を雇い、人を使っているわけである。形の上では使う立場、使われる立場はあるけれども、あくまで私のためではなく、公のために人を使うのである」(『松下幸之助一日一話』PHP総合研究所より) この「商売と公益」の概念を江戸時代から提唱していたのが近江商人です。大坂商人や伊勢商人と並ぶ日本三大商人のひとつと呼ばれ、金儲けの商いを「商売道」とでもいうべき経営哲学にまで昇華させたことで知られています。