幸之助も実践した「仕事で幸せになる人」と「ならない人」を分けるたった1つの考え方とは?
人生の折り返し地点とされる40代、大事な3つの指針を意識することで、その後の人生で揺るがない座標軸ができるという。教育学者・齋藤孝氏が示す先人達の精神論に触れながら、人生を好転させるコツを探る。本稿は、齋藤 孝『40代から人生が好転する人、40代から人生が暗転する人』(宝島社)の一部を抜粋・編集したものです。 【この記事の画像を見る】 ● 3つの「これだけは外せない」が 40代以降の人生の道しるべに 老後の自分をイメージしながら、人生において何が自分にとって大事なことなのか、「これだけは外せない」というものを常に頭のどこかに置いておくことは、40代以降を生きるうえでとても大事なことです。それがその人の今後の人生の柱であり、指針になるからです。 少し前ですが、卒業して何年か経ったある学生から、就職活動の面接でこんなことを聞かれたという話がありました。それは、「人生であなたがこれだけは外せないものを3つあげてください」という質問だったそうです。 そのときに学生がどう答えたかまでは覚えていないのですが、印象的だったのは彼がそのときに絞り出した3つの答えが、その後も彼の人生の道しるべに近い存在になっていたということです。 3つの答えは、その後は優先順位が入れ替わったり、答えが部分的に別のものになったりと上書きされながら、「迷ったときに自分を人生の座標軸に戻してくれる道しるべになっている」というのです。なるほどと思いました。
その「3つの答え」が彼を彼たらしめるアイデンティティなのであり、そのことを本人が自覚できてさえいれば、この先に何があってもそこに立ち戻ることで、人生を自分のものとして進めることができるということなのです。 今、40代の皆さんも、「これだけは」というものを3つ考えてみてください。難しく考える必要はありません。おかしいと思えば後で入れ替えればいいだけです。そのうえで、その3つを念頭に置いて日々を過ごしてみることで、自身の人生の流れを意識して確認できると思うのです。 ● アドラー「3つのライフタスク」に 通底するのは「世の中のため」 心理学者のアルフレッド・アドラーは、人は誰もが目的をもって生きているとの前提のもと、どう生きれば幸せになれるかを考えて研究した人でした。 そのうえで、人生の課題とは突き詰めれば「対人関係」に集約されるとし、その関係を「仕事」「交友」「愛情」と3つの課題に分類しました。 そしてこれらを総称してライフタスク(人生の課題)と定義し、3つの課題にうまく対応できれば、人は良好な社会生活を送れると考えたのです。