来年から根尾も“入塾”…侍Jブルペンの救世主・藤平を覚醒させた『涌井塾』手取り足取り教えず現役の強み生かす
◇渋谷真コラム・龍の背に乗って・侍ジャパン編 ◇22日 「ラグザス presents 第3回 プレミア12」 2次リーグ 日本9―6ベネズエラ(東京ドーム) ◆プレミア12、各国のチアリーダー【写真】 5試合で5イニングを投げて11奪三振。離脱者が出た侍ジャパンのブルペンで、救世主となっているのが藤平(楽天)だ。8年目の今季、47試合で20ホールド、防御率1・75と一気に覚醒した。過去7年はほとんど先発で10勝16敗。一般的にはリリーフ転向がきっかけと言われているが、藤平の成長をよく知る人は、首を横に振った。 「去年までと違うところはないんです。長いイニングか短いイニングかの違いはありますが、先発の時も圧倒していた回はありましたから」 中日の涌井である。横浜高、楽天の後輩でもある藤平は、4年目の自主トレから涌井塾の一員になった。 「今年がフォーカスされますが、去年の後半あたりから真っすぐの感覚がつかめてきたんです。少しずつ積み重ねてきた結果かな。自分でも階段を上がるというか、積み木を積むような感じかなと思っています」 年月はかかったが、8年目の覚醒は予感できていたようだ。その基礎となったのが涌井塾。ただし、塾長は手取り足取り教えたりしない。実演するのだ。 「ワクさんはずっとそうでした。キャッチボールをする時も『オレの球を見て、感じて、どう生かすかだ』みたいに。ミットをもって僕の球を受けてくださいますし。球速もそうですが、打者が差される真っすぐ。ゾーンの中で勝負していける球になってきたんです」 現役の強み。数々のタイトルを取ってきた球筋を藤平に見せ、学ばせてきたのだ。だが厳しい。涌井は「褒めたことは一度あったかどうか…」と笑った。その一度を、藤平はよく覚えていた。 「オリックス戦(9月2日)で3者連続三振を取ったんです。その日は『ナイスピッチ。これを続けるように』って連絡をいただきました。高めに吹き上がる。真っすぐはそんなイメージで投げています」 森、西川、頓宮をねじ伏せたあの夜、フィニッシュはすべて真っすぐだった。来年からは根尾も涌井塾に入る。塾長は教えない。見て、感じて、生かす。その大切さを藤平の成長が教えてくれている。
中日スポーツ