まだ間に合う?AI・半導体ブーム【Bizスクエアで学ぶ投資のキホン#21】
ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏: この予測によると2023年を起点に、2027年まで4年間で年率平均22%需要拡大が見込まれている。本当にそんなに増えるのか!?と不思議に思う方もいると思うが、AIを使ったビジネスそのものが伸びるかどうかは私自身まだ懐疑的なところある。AIが実際本当にそんな儲かるのかどうかよくわからないところもあるが、一方でエヌビディアが作ってるのは、AIのビジネスそのものではなく、AIビジネスに使う道具の「GPU」。昔、19世紀の半ばにゴールドラッシュがあり、アメリカでみんなが金を追い求めて金鉱脈に行った。あの時に一番儲けた人は金を掘った人ではなく、金を掘るためのスコップやつるはしを売った人だという話がある。(AIが金ならば)金を掘るための道具を作って売っているのがエヌビディアだ。 そう考えると、AIビジネスそのものが期待しているほどうまくいかなくても、その道具を作っているエヌビディアは、売ったらそこで売上・利益になる。そういう意味では、そんなに心配はいらないのかなという気もする。 ――少なくともこれを見るだけでも2027年までは年率22%で伸びていくと見られている。 ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏 もちろん上振れする可能性もあり、下振れする可能性もあるが、少なくとも、右下がりという話には多分ならないと思う。一時的に下がることあったとしてもまた拡大していく。これは間違いないと思う。 ■エヌビディア一強 どこまで続く? ――本当にエヌビディアは一強であり続けるのか? ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏: エヌビディアにもリスクは大きく2つあると思っている。まず1つはライバルが出てくること。今、エヌビディアはGPU市場で独占状態。その結果、単価がものすごく高い。エヌビディアの営業利益率は50数%ある。1個売り上げたら、そのうち50数%が利益になるわけだから、相当単価が高い。そのぐらい殿様商売ができている。ということは、同じようなものを供給するライバル会社が出てきた瞬間に、単価が急に下がるリスクがある。ただ、エヌビディアの場合上手なのが、物を作って売るだけではなく、顧客と一緒にソフトウェア開発もやっている。データセンターと一口にいってもそのデータセンターによって取り組んでることが違う。システムの構成も違う。データセンターの先にいるクライアントも当然違うので、データセンターごとに違うソフトウェアが必要。ソフトウェアも一緒になって開発している。お客さんの課題解決を一緒にやっているので、エヌビディアの顧客にとっては、もう完全に業務に組み込んでいる。ライバルが出てきたからといって簡単に置き換えるわけにいかない。