鹿児島県議会、県警幹部を招致へ 警官盗撮事件隠ぺい疑惑、来月中旬に参考人質疑 署長と本部長つないだキーマン
鹿児島県警枕崎署員の盗撮事件で昨年12月に署の捜査が2日間中断したことに関し、鹿児島県議会が来月の総務警察委員会で、前首席監察官(現鹿児島中央署長)を参考人招致する方針であることが25日、分かった。前首席監察官は野川明輝前本部長と前枕崎署長(退職)の連絡を担っており、野川氏と署との具体的なやりとりをただし、真相解明や再発防止を図るのが狙い。 【写真】〈関連〉枕崎署員による盗撮事件の認知から逮捕までの流れを時系列の一覧表で確認する
関係者によると、総務警察委は来月中旬に開かれる見通し。前首席監察官が招致される日程は未定だが、出席する見通し。前枕崎署長にも出席を要請したが、体調不良を理由に辞退するという。 県警によると昨年12月、盗撮事件で署員(当時)の関与が浮上。22日に報告を受けた野川氏は、警察官の不祥事で通常行う自身の指揮とせず、前首席監察官を通じ署による捜査を指示した。署側は捜査中断と受け取り、実際に2日間ほどストップした。 事件を巡っては前生活安全部長=国家公務員法(守秘義務)違反の罪で起訴=が、野川氏が事件を隠蔽(いんぺい)しようとしたと主張している。野川氏は否定。県警は「伝達ミス」としているが、やりとりのメモなどは残っていないとし、県議会では野党会派を中心に追及が続いている。 総務警察委は、霧島署員のストーカー事案について前霧島署長(現生活安全部長)に、また捜査書類の廃棄を促すようにも受け取れる「刑事企画課だより」について当時の課長(現警務部参事官)に、参考人として詳細をただすことも検討している。
◇ 元枕崎署員の盗撮事件 2023年12月15日に女子トイレに侵入し県内の30代女性を盗撮したとして、県警は24年5月13日、建造物侵入と性的姿態撮影処罰法違反(撮影)の疑いで枕崎署警備課の巡査部長=当時=を逮捕した。6月に停職3カ月の懲戒処分とし、巡査部長は依願退職した。少なくとも80回盗撮したとされ、このうち23回が罪に問われた。9月、鹿児島地裁は懲役2年執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。
南日本新聞 | 鹿児島
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