尹大統領「最後まで闘う」とテレビ演説 韓国与党代表は弾劾案賛成を呼びかけ
韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は12日、テレビで演説し、非常戒厳を宣布したことの正当性を訴えた。民主主義の「崩壊を防ぎ」、野党による「国会の独裁」に対抗するための合法的な判断だったと主張した。同時に、辞任する考えがないことも示した。 野党や国民らからは、尹氏の辞任や弾劾を求める声が高まっている。 尹氏は「弾劾されようが、捜査されようが、私は断固として対抗する」、「最後まで闘う」と述べた。 尹氏の演説は、7日に非常戒厳について謝罪して以来。尹氏は、野党勢力は危険であり、自分は統制を確立することで国民と民主主義を守ろうとしてきたと、3日夜の非常戒厳の宣布の際に展開したのと同じ主張を繰り返した。 一方で、「法的および政治的な責任」を回避するつもりはないと述べた。 尹氏と側近らは現在、内乱の疑いで捜査されている。尹氏を含む数人は出国が禁止されている。 尹氏は、非常戒厳の宣布は内乱行為ではないとし、自分を追い落とすために政敵が「虚偽による扇動」をしていると主張している。 国会は7日、最大野党「共に民主党」などが提出した尹氏の弾劾訴追案を採決したが、与党「国民の力」の大多数が投票をボイコットしたため不成立に終わった。しかし、野党側は尹氏を辞めさせるまで毎週土曜に弾劾訴追案の採決を続けるとしており、14日に国会で再び同案の採決が行われる見通しとなっている。 ■弾劾案賛成を与党代表が呼びかけ 与党はこれまで、尹氏を弾劾に追い込むのではなく、早期辞任させたい考えを示してきた。 しかし、この日の尹氏の演説の直前、「国民の力」の韓東勲 (ハン・ドンフン) 代表はテレビで、尹氏に辞任の意向がないことが明らかになったと説明。14日の採決では弾劾訴追案に賛成するよう同党議員に呼びかけた。 弾劾訴追案は、国会議員300人の3分の2以上の賛成で可決となる。現在の国会の構成では、可決には野党の全議員に加え、与党から少なくとも8人が賛成する必要がある。 国会で弾劾訴追案が可決されれば、憲法裁判所が最長180日をかけて、弾劾の妥当性を審理する。裁判官9人のうち6人以上が弾劾を支持すれば、大統領は罷免される。 韓国では今年4月の総選挙で野党が大勝。以来、尹氏はレームダック(死に体)状態となっている。政府として法案を国会で通せず、野党提出の法案に拒否権を発動する程度のことしかできない状況となっている。 (英語記事 S Korea's President Yoon vows to 'fight to the end')
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