PompadollS「悪食」、バイラルチャートイン TikTokのライブ&リリック動画に反響、シェアしたくなる一曲
PompadollS「悪食」、TikTokでのシェアが相次ぐ
PompadollSは、2024年に始動した5人組バンドで都内を中心に活動を展開している。ボーカル&ギター、ギター、ベース、ドラム、キーボードという編成だ。同年1月27日に初音源となる「日の東、月の西」を発表して以降、7月までにデジタルシングルを3タイトルリリース。11月2日には6曲入りのEP『P.S.』を発表している。バンドの詞曲を手掛けているのは、五十嵐五十(Vo/Gt)だが、1人で曲を書いているとは思えないほどのバリエーションがあり、コンポーザーとしての才能が光っている。他メンバーの演奏スキルも申し分なく、五十嵐の多彩な楽曲をしっかりとサウンドで表現できている。新人バンドと称するには抵抗があるほどの楽曲のクオリティ、ライブ映像やMVで確認できる自らのバンドサウンドを楽しんでいる様子、そして五十嵐の存在感あるボーカルが、PompadollSの大きな武器だ。 「悪食」は既出のEP収録曲。ヒットのきっかけは、TikTokにアップされた同曲のライブ&リリック動画だ。同動画は1月6日現在ですでに140万回再生を超えているほか、いいねが11万8,000以上、キープ(保存)が1万8000件を超えている。面白いのは、バズを起こすのに比例して増える傾向にある“歌ってみた”動画があまり見当たらないことだ。これは、TikTokユーザーが「悪食」を純粋に“いい曲”、“カッコいい曲”としてシェアしているからだと考察する。メランコリックかつ軽快なピアノのフレーズで幕を上げる「悪食」は、ボーカルアプローチの幅とバンドサウンドの抜き差しが、楽曲にメリハリを作り出し、ダイナミックなストーリー性に繋がっているアップチューンだ。 メロディの高低差、細かい譜割り、五十嵐のロングトーンなど、フックも満載の1曲だが、中毒性があるのはメロディと歌詞のマッチングの妙だ。PompadollSの歌詞は、童話をモチーフにし、五十嵐の視点で現代を風刺している。〈ヘンゼル〉という言葉が出てくる「悪食」は、童話『ヘンゼルとグレーテル』をモチーフにした曲だとわかる。この童話の象徴である“お菓子の家”を想起させる言葉も度々出てくるが、〈無責任な 純粋な悪は/おかしなことさえ、/おかしなことだと/気づきやしないよ。〉と“お菓子”と“おかしい”をかけるなど、非常に歌詞が練られているのがわかる。 今この瞬間にもシェアされ、拡散され続けている「悪食」。PompadollSは、2025年最初の注目バンドになりつつある。 ※1:https://charts.spotify.com/charts/view/viral-jp-daily/2025-01-02
伊藤亜希