藤澤信義オーナー（左）と内田あずさセカンドキャリア担当役員

【藤澤信義オーナー直撃インタビュー(2)】 　アイドルグループ「SKE48」の実質的なオーナーで東証スタンダード上場企業・Jトラスト株式会社の藤澤信義社長（54）のインタビュー第2回ではアイドルのセカンドキャリア問題についてフォーカス。藤澤氏は2019年にSKE48を買収したときからセカンドキャリア支援を積極的に行うと宣言。SKE48の運営会社「株式会社ゼスト」が行っている再就職支援策とは――。 　――SKE48ではメンバーのセカンドキャリア支援を積極的に行っている（21年卒業の竹内彩姫さん、24年卒業の福士奈央さんはゼストに入社。21年卒業の杉山愛佳さんはゼストミュージックスクールの講師を務めるなど卒業メンバーに就職先を斡旋している） 　藤澤　1年ほど前からゼストの女性役員として、こちらにいる内田あずさをセカンドキャリアの担当に置いています。元々、芸能事務所に入って活動していた経験を持っている人なので将来どうしようということを女性同士で話し合い、相談してもらっています。そして彼女から直結で僕のところに来るような形を作っています。現場での話になるとゼストの中でどうできるかという解決になりますし、KeyHolderの中だとエンタメ事業の中でどうするかという解決になりますけど、僕のところに直接来れば、ファイナンスや不動産、証券など上場企業などへの就職の可能性も含めて考えることができる。（Jトラストグループには）上場してないところでも美容系の会社もいくつかあります。 　――あらゆる業種がセカンドキャリアの対象になる 　藤澤　メンバーの中には大学を卒業した子もいれば、中学生のときにアイドルになって勉強にはそれほど力を入れてこなかった子もいます。ただ彼女たちはアイドルとしてすごく努力をしている。アイドルってインスタやTiktok、SHOWROOMなどのSNSを駆使しながら自分をプロデュースすることを毎日のようにやっているんです。 　――自分自身をいろいろな形で売り込んできた 　藤澤　自分をプロデュースするノウハウを知っていますし、自分で動画や写真を撮って編集＆加工してアップしている。だから、彼女たちにとってはすごくビジネスチャンスはあると思うんです。これまでは自分のマーケティングだったけど、これが商品であったり会社であったり、そういうマーケティングが絶対できると思っているんです。アイドルの子たちと面談したときに必ず言うのはSNSのマーケティング事業では他の誰よりもとは言わないけれど、一般的な企業の作業レベルよりはるかにスキルが上だよということ。本当にそう思っていますし、それをうまく使えるような部署に行けば、一人の社会人としても花開くんじゃないかと思っています。 　――いろいろな選択肢を提供していこうということですか 　藤澤　アイドルを辞めて女優になりたいという場合は、うちのプロダクションにそのまま残って、ワークショップなどで演技について勉強をしてもらうこともあります。逆に全く違う世界というか、普通の会社に行きたいという人もいる。それぞれ目指すところ、夢、目標が違いますから、それに合わせて相談に乗っていますね。企業は人が重要です。前を向いて、やる気を持ってやる人がより多くいた方が企業は活性化すると思っていますから、そういう方向に持っていってあげたいですね。そういう意味では、メンバーへのケアを重視しています。その分、（ゼストの）役員や社員は大変だと思いますけど。 　――アイドル卒業後のケアもあるとメンバーも安心感がある 　藤澤　メンバーを集めて（女性担当役員が）セカンドキャリアについての説明会をやっています。うちの会社はこういう方針でセカンドキャリアに対応していきます。なのでこういう要望があったら相談に来てくださいと説明しています。セカンドキャリアについてメンバーと話をしても「それは説明会で聞きました」と言ってますね。 　――セカンドキャリアについて藤澤社長がメンバーと直接面談することは 　藤澤　希望する職種のことや何も決まってなくて迷っている場合にも僕が面談することもあります。将来はアイドルから女優やエンタメ系の社員ではなく普通のOLがしたいという子もいます。20代は将来について迷うものですから「大いに迷った方がいいよ」というところからスタートします。最初はこういう仕事は実務としてこういうものがあってというところをどんどん紹介していって、その中で自分にできそうなものとかを探してくれればいい。卒業後のことを具体的に決めてなくてもいいんです。人生相談窓口のような感じになっていますね。 　☆藤澤信義（ふじさわ・のぶよし）　1970年1月17日生まれ。岐阜県出身。東京大学医学部卒業。東証スタンダード上場企業「Jトラスト株式会社」代表取締役社長。Jトラストの持分法適用会社「株式会社KeyHolder」が19年3月にSKE48を30億円で買収し、実質的なオーナーとなった。