<フィギュア>14歳・樋口に真央超えさせた“超高速スケーティング”
それでも、自らの調子に合わせ、それまでプログラムに組み込んでいた高難度の「3回転ルッツ+3回転ループ」の難易度を下げて「3回転ルッツ+3回転トウループ」にするなどの工夫をしながら、11月の全日本ジュニアで優勝、徐々に調子を取り戻して、この全日本に間に合わせた。 樋口も、「シーズン前半は、けががあったのであまり練習もできませんでしたが、けがも治して大事な大会に合わせるという気持ちでやってきたのが良かったのかなと思います」と言う。 樋口だけでなく、ジュニア世代には逸材がそろっているが、2018年の平昌五輪では17歳。十二分に狙えるホープである。女子も近い将来、3回転アクセル、4回転の時代が到来すると言われているが、その3年後を見据えて樋口陣営では、スピードとジャンプの高さを生かすため4回転トゥループにも挑戦しているという。 前述の今川さんも、「あのスピードがあれば、3回転アクセルより4回転トゥループのほうが入りやすいのかもしれません。3年後は五輪代表候補になっていくでしょうが、この世代は肉体が驚くほど成長しますから体型も変化していきます。体型の変化に応じて、食事も制限しながら練習量や技術の対応もしていかねばなりません。その過程での故障も心配です。 ジュニア世代の優秀な選手が、浅田選手のように順調に育つには、そういうケアをしっかりとしていくことが大切でしょう」と見ている。 樋口は、来春、昨年銅メダルを獲得した世界ジュニア選手権に続けて挑む。 「ミスが少なかったのは良かったと思うんですけど、まだジャンプだけに集中してしまうことがあるので、表現力もしっかりつけることが課題です。海外の選手は大きいので、自分を大きく表現できるような演技がしたいと思っています」 直接対決で浅田真央を超えた樋口が“ポスト真央”の一番手であることは間違いないだろう。