佐々木朗希のメジャー移籍、大谷翔平との決定的な違い…システムの問題だけではない「認められる」条件
この成績でのMLB移籍は、かなり「無理筋」だと言える。 MLB球団にとっては、大谷翔平級のポテンシャルを持つ投手を「マイナー契約」で獲得できるのだから、入札合戦が起こるのは必定だ。 佐々木朗希は形式上は「マイナーリーガー」であり、まだ23歳だから、いきなりMLBの過酷なローテをクリアすることは求められないだろう。 「育成期間」はあるだろうが、最終的にはメジャー流の中4日のローテを維持し、100球を投げることが求められる。これまでシーズン20試合しか投げてこなかったのが、MLBでは30試合は投げることになるのだ。
多くの識者が言う通り、まずはNPBの規定投球回数(143イニング)をクリアしてから、MLB移籍を考えるのが常識的だったと思う。 ■今年の移籍になぜ固執したのか? 佐々木朗希サイドが、今年の移籍に固執する背景には、何らかの「約束事」があったのだろうか。ロッテがポスティングでの移籍を認める前から、MLBの情報筋が「佐々木朗希のメジャー挑戦」を報じていたから、MLB球団との下交渉のようなものがあったのかもしれない。移籍が決まる前に選手と球団が裏で交渉するのは、タンパリング(協定違反の交渉)とされるから、明確なものではなかったのだろうが、佐々木側に「今年移籍しなければならない事情」があったのか、と推測される。
NPBからMLBに移籍した投手の多くは、MLBの過酷な環境下で故障している。松坂大輔、和田毅、ダルビッシュ有、田中将大、前田健太、そして大谷翔平と、NPBで「エース」と呼ばれた投手は、MLB移籍後に投げる腕のひじのじん帯を損傷している。そして田中を除いて「右ひじ側副靱帯再建手術=トミー・ジョン手術」を受けて長期間、戦線離脱を余儀なくされている。 彼らはNPB時代何度も規定投球回数をクリアし、シーズン通してフル回転した経験を有していた。それでもMLBでは故障してトミー・ジョン手術を受けているのだ。