住民以外は「日本一乗るのが難しい」定期特急に乗ってみた 「あれ、さっき出てった“普通”列車じゃん!」
復路は牟岐6時21分発
牟岐に宿泊し、翌朝6時21分の牟岐発 阿波海南行きの普通列車(列車番号521D)に乗車します。6時に駅へ入りましたが、列車のドアは開いていました。冷房は最小出力で、車内はかなりの暑さです。乗客が少なかろうが、車掌が車内をしっかり見まわっていました。 521Dに乗車したのは、牟岐線の終点である阿波海南駅で折り返し、普通列車(列車番号530D)になった後、牟岐駅から特急「むろと2号」になるからです。車両はキハ185系で、ヘッドマークも「むろと」のままですが、側面の行先表示は正しく「普通」となっていました。 冒頭で「最も乗車が難しい」と書いたのはこの点です。「むろと1号」は、牟岐から徳島行き普通列車で戻ることが可能ですが、「むろと2号」に阿波海南から乗るには宿泊施設がないため、牟岐に泊まるしかありません。 さて、列車は出発前に冷房を強め、筆者以外の乗車がないまま、6時34分に阿波海南駅に到着。ちょうど阿佐海岸鉄道のDMVが到着しました。1日1回のみの、キハ185系との邂逅です。 2人の乗客が乗り換えて来ると、普通列車は6時44分、徳島駅へ向け出発しました。隣の浅川駅までは海の絶景が見えます。6時47分に到着すると3人が乗車。6時56分着の牟岐駅では2人ずつの下車と乗車があり、いよいよ特急「むろと2号」となりました。
普通列車より40分ほど早い
牟岐駅を出ると、車内検札がありました。7時14分着の日和佐駅で1人が乗車。通過する木岐~由岐間も見事な海岸の風景です。7時23分、乗降客ゼロで由岐駅を出発。駅は木が茂っていて、トンネルのようでした。 7時37分着の桑野駅と7時42分着の阿波橘駅で1人ずつが乗車しましたが、車内はガラガラ。牟岐線最大の駅である阿南での乗車に期待します。7時46分に到着すると5人が乗車しました。 桑野川、那賀川を大鉄橋で越えて、7時58分に羽ノ浦駅へ到着。11分前に普通列車の徳島行きが出たばかりですが、5人が乗車しました。キハ40形ディーゼルカーと列車交換し、国鉄型の並びも見られました。 8時7分着の南小松島駅で1人が乗車。この時点で筆者を入れて乗客は25人(乗車率21%)でした。8時17分着の阿波富田駅で10人が下車し、8時20分着の終点・徳島駅まで乗車したのは自由席の14人でした。 終始閑散としていた「むろと」ですが、全区間を普通列車で移動した場合の所要2時間12分に対し1時間36分と短く、また快適であるため、特急設定自体には必要性があるように思えました。指定席付き快速列車でもよいとは思いますが、土日祝だけでも、DMVの走る阿佐海岸鉄道と連絡し、室戸岬観光に便利な時間帯に設定してもよいのではないでしょうか。
安藤昌季(乗りものライター)