長瀬智也さん、日本初登場となるハーレーバガーレーサーでレース参戦!! 「多くの人にこの魅力を知ってほしい」
マフラーはヨシムラ製のワンオフ品
2023年の夏が終わろうとしていた頃、ベースマシンとなるFLTRXロードグライドがジョイライドスピードショップに持ち込まれ、バガーレーサーの製作がスタートした。少しして飛び込んできたのが、アメリカのバガーレースでチャンピオンを獲得した、インディアン チャレンジャーのレーサーレプリカモデルが発売されるというニュース。本物のバガーレーサーを知りたいと考えた長瀬さんは、このマシンの購入を決意する。 「インディアン(チャレンジャーRR)はチャンピオンマシンのレプリカだから、とても良くできていたし、性能も素晴らしかったんです。でも、ハンドリングもエンジンフィーリングも、ハーレーとは何もかもが違いすぎました。僕は乗り慣れたハーレーのフィーリングのほうが安心して走れると思いました」 マフラーの製作を依頼したのはヨシムラジャパンだ。 「バイクとレースの魅力を多くの人に伝えていきたいという長瀬さんの考えは以前からお聞きしていて、ウチでも何かお手伝いできることがあれば協力させていただきたいと思っていました。それでお話をいただいてマフラーを製作することになりました」(ヨシムラジャパン広報) バガーのエンジン仕様や求められる特性などからマフラーの寸法が決められ、このマシンだけのヨシムラ製マフラーが作られることになった。
ふだん、サーキットに来ないような人が足を運んでくれた
マシンが完成したのはレース直前の5月末だった。すぐ筑波サーキットでテストを行い、問題が出たサスセッティングを変更。6月初旬に2回目のテスト走行。レース前に確認できたのはこの2回だけ。 「乗った感じですか? 見た目通りですよ(笑)。大きくて力強い。そこが楽しいんです」身長182cmの長瀬さんには、大きな車体が逆にフィットしていたのかもしれない。 レースにはいつも一緒に走っている仲間3人で出場することにした。新しく製作したFLTRXを長瀬さんがライディングし、インディアン チャレンジャーRRにはラフモーターサイクルガレージの伊藤さん、最初に製作したFLTRXはジョイライドスピードショップの西田さんが乗る。 予選は極力3台が接近して走ることを心がけた。詰めかけたメディアにキング・オブ・ザ・バガーのような雰囲気の写真を撮影してもらいやすくしようという考えからだった。 決勝レース、長瀬さんは最新のスポーツバイクなどと混ざって走り、4位でフィニッシュした。 「クラス4位という成績になりましたが、順位よりも自分のイメージしたように走れたかどうかのほうが重要ですよね。それに今回はメディアの方々にも来ていただけたし、ふだんサーキットに来たことがないような方々にも足を運んでもらうことができました。じつはレース参戦もInstagramで発信していただけなので、取材なんて誰も来てくれないんじゃないかと思っていたんですよ(笑)。少しでも多くの人に見ていただきたいと考えていたので、本当にありがたいと思っています」 マシンはまだ未完成で、煮詰めるべき部分は多い。エンジンもステージ1仕様だから、まだチューニングの余地がある。日本初のバガーレーサーは、さらに完成されて速さを増していくことは間違いない。けれど長瀬さんは、すでにその先を見ている様子だ。 「面白いことをたくさんしていきたいと思っていて、今回のバガーレースはそのひとつでしかありません。考えていることはまだたくさんあるんですよ」 長瀬さんの行動の根底にあるのは、バイクとレースの楽しさを多くの人に知ってほしいという想い。そこに面白いことを純粋に追求するパワーが加わり、仲間たちと力を合わせて大きく育ていく。いったいこれから何が生まれ、どんな展開で我々を驚かせてくれるのか。長瀬さんの活動からはしばらく目を離すことはできなさそうだ。
────────── ●文:後藤 武 ●写真:渡辺昌彦 ※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
ウィズハーレー編集部