2024年5月の「ゼロゼロ融資」利用後倒産は67件 月間過去最多に並び、3カ月連続で60件超え
2024年5月「ゼロゼロ融資」利用後の倒産状況
2024年5月の「ゼロゼロ融資(実質無利子・無担保融資)」を利用した企業の倒産は、67件(前年同月比15.5%増)で、これまで月間最多だった2024年3月と並び最多件数となった。 2024年3月から3カ月連続で60件を超え、ハイペースで推移している。ゼロゼロ融資を利用した企業の倒産は、第1号が発生した2020年7月から累計1,500件に達した。 産業別では、最多がサービス業他の22件(前年同月比37.5%増)で、全体の3割(32.8%)を占めた。次いで、建設業が14件(前年同月比6.6%減)と続く。 負債額別は、1億円未満が37件(同23.3%増)で、過半数(構成比55.2%)を超えた。一方、5億円以上は6件(前年同月2件)で、徐々に負債の中規模化が進んでいる。 コロナ禍の急激な業績悪化に直面し、ゼロゼロ融資などの支援策に下支えされた企業は多い。だが、その副作用で過剰債務に陥った企業は、売上増などで資金需要が活発になる局面で資金調達が難しく、資金繰りがひっ迫する事態に陥っている。さらに、物価高や人件費上昇などのコストアップが収益に追い打ちをかけ、借入返済も重荷になっている。 2024年4月に民間ゼロゼロ融資の返済開始が最後のピークを迎えた。政府は、返済開始で資金繰り難に陥る企業に備えて2023年1月に借換保証を打ち出し、コロナ資金繰り支援を今年6月末まで延長した。だが、7月以降はコロナ前の支援水準に戻しつつ、経営改善や再生支援に重点を置く資金繰り支援を基本とする方向を打ち出している。 ゼロゼロ融資を受けながら自走自立できず、支援の網からこぼれ落ちる企業が倒産を押し上げる可能性も残している。また、円安で物価が高止まりするなか、中小・零細企業や内需型産業の経営は厳しさを増しており、借入依存から抜け出せない企業の動向が注目される。 ※本調査は、企業倒産(負債1,000万円以上)のうち、「実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)」を受けていたことが判明した倒産(法的・私的)を集計、分析した。