ハンドルを握るのが怖い…約3年間「1日12時間労働」を続ける月収34万円・53歳宅配ドライバーの悲痛な叫び【ノンフィクション】
マンション管理士になるも、明細にため息の毎日
「再就職活動を始めたときが49歳。同業他社でこんなオッサンを採るわけがない。中高年の事務、営業などは求人が最も少ないんです、なのでハローワークの指導でマンション管理士の職業訓練を受け、資格を取って建物管理会社に入ったんです」 通勤管理人として2つの大型マンションに派遣され、ゴミ出し、共用部分の清掃、駐車場の管理、簡単な営繕作業などを担当していた。 「その地域のゴミ収集日に合わせて月水金はこっち、火木土はあっちというローテーションでした。仕事そのものはどうっていうことはない、危険な作業もなかった。だけど低賃金、悲しくなるほどの低収入でしたね」 身分も半年ごとの契約社員。賃金は日給8,800円で、住宅手当、扶養家族手当などは一切なし。月25日働いても月収は22万円が限度だった。 「手取りだと18万円台の前半でした。明細書を見てもため息しか出ません」 奥さんもパートで働くようになったが合計しても生活費全般として使えるのは26万円前後。生活できないということはないが、豊かで少し余裕があるような暮らしは送れなかった。 宅配ドライバーは大忙しの重労働 「もうちょっと稼ぎたいと思って別の働き口を探し始めまして。またハローワーク通いしたり求人情報誌をチェックしたりしていたんです。そんなときに目に入ってきたのが今の仕事なんです」 雇われないという新しい働き方、やった分だけ収入になる、万全のバックアップ体制、平均月収40万円超、50万円以上も可能……。こういう文言がなぜだか輝いて見えてしまった。 「説明会に参加してシステムを聞いたら加盟金などは必要なし、車両は持ち込み、荷物1個につきいくらという契約だということでした。会社と業務委託契約を結んで働く個人事業主という説明だった」 自家用車として乗っていたファミリーカーを売却し、そのお金で中古の軽ワゴンに買い換え、ボディに契約した貨物運輸会社のロゴ入りステッカーを貼ってスタートしたのが19年10月のこと。
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