【北川景子】家族に関するマイルールとは? 「子供扱いせずに、しっかりと説明するようにしています」
北川さんにとっての「表現」とは何か
北川:17歳の時に雑誌『SEVENTEEN』のモデルとしてデビューしてから21年目になりました。モデルとしても俳優としても「表現とは何か」をずっと考え続けてきた気がします。演技について、若い頃は「自分が気持ちよく“役になりきれた”と思えたら正解だ」と考えていた時もありました。でも、経験を積んで20代半ばになった頃、感情と技術のバランスを考えるように。「冷静な自分が、もう1人の演じている自分を見ているくらいが正解なんだ。それが伝えるということなんだ」、そう考えたこともありました。 今回、朗読というお仕事をしてみて、こう思います。「結局は“心”なんじゃないか」と。朗読は声だけですべてを表現します。語り手としては、「とにかく聞き手に届いてほしい」と、切実な気持ちになる。自分には声色を変える技術もないし、幅広いキーが出せるわけでもない。だからこそ「この声があなたに届くように」と祈りながら、作業をしました。 キャリアが重なるにつれて「表現についての正解」を探してしまっていました。もちろんそれも大事です。けれど、「とにかく届いてほしい」という気持ちこそが、一番大事なんじゃないかと。『SEVENTEEN』のモデルをさせてもらっていた頃、カメラの前に立ちながら、雑誌を手に取ってくれる人に「届いてほしい」と思っていた。祈りにも似たあの感覚を取り戻すことができたというか、思い起こせたのは、すごくいい経験でした。 ――今回の挑戦を通して、また初心にたどりついたのですね。 北川:ドラマや映画で新作に携わる時、新しい気持ちで臨みますが、メイク部屋に入り、スタンバイして、扮装して、演技して……と、自分のことが想像できます。でも、今回のような朗読作業は初めてのことばかりで、気分はデビュー1年目の新人でした。何も知らない、何もできない。そんな自分が、いろんな角度から体当たりでぶつかって、間違えて。新しい仕事に挑戦するかしないかは、選べるじゃないですか。自分は挑戦を選びました。挑戦しないと見えてこない自分を知ることができました。ルーティンではなく、新しいことにもっともっと挑戦していきたいです。