「心を読む能力」が人により異なるという衝撃事実 リーダーに不可欠なメンタライジング能力とは
どういう行動が求められているかを本能的に理解するには、一緒に練習するだけでなく、一緒に学び合うことが大切だ。つまり、先に述べたようなとっさの判断を下す社会的および技術的能力を養う必要がある。 コブによれば、仮想現実(VR)を使用すれば、医師と手術室看護師は学習を速められるという。VRを使った訓練を合同で4セッション行えば、別々に訓練した場合より間違いが減って学習速度が上昇するのだ。 もちろん、ここで示したのは、高度な訓練を積んだ専門職の例ではあるが、私たちはこうした事例にならった訓練によって、驚くほど良好な結果を出すことができる。
■人数が増えるとメンタライジングが困難になる ただしその場合にも、関係する人数を絞ることが前提になる。人数が増えると、メンタライジングは疲労を招き、ついには不可能になる。 ブルー・ベア・システムズ・リサーチのCEOヨゲ・パテルは、防衛、航空宇宙、民間市場におけるイノベーターである。自身の会社を立ち上げたとき、家族のような会社にしたいと心に決めていた。 しかし、社員が11人になったあたりで、これほど多くの人についてメンタライジングするのはとても疲れることに気づいた。すでに自分の能力の限界を超えている。
とうとう、会社をさらに成長させたいのであれば、もう1つのリーダー層を設けるなど、新しいシステムを導入する必要があると考えるようになった。彼女のメンタライジング能力はやはり限界に達していたのだ。 このようなメンタライジングの問題は、必然的に大規模で複雑なグループにおいて顕著になる。チームのメンバーとの関係を処理する能力は、当然あなたのメンタライジング能力に依存する。 メンタライジング能力が発達していればいるほど、大勢の人と仕事上の関係を維持することができる。しかし、グループ内の他のメンバーのメンタライジング能力も考慮しなくてはならない。