トランプ氏がZ世代“男性”に人気…ハリス氏も「タフさ」強調し「女性」や「人種」封印の狙いは?【米大統領選】
飯塚:ハリス氏は民主党大会の時に女性参政権の象徴である「白いスーツ」を着てくるかなと思ったら、いつもの紺のスーツでした。 三牧:2016年にトランプ氏と戦って敗北したヒラリー・クリントン氏は重要な局面では白を着用していました。そんなヒラリー氏の選挙スローガンは「I'm with her」。「私は彼女とともにある」と。「女性初の大統領の選出を女性達は後押ししてください」という選挙戦略をとりましたが、実際、白人女性はトランプ氏の方に票を入れていたという結果でした。 ハリス氏は白ではなく、紺のスーツを選んでいることから、メッセージとしてあまりジェンダーや人種を前面に押し出してない。今回、ハリス氏が大統領になれば“ガラスの天井”を破ったということになります。ただ、人種、ジェンダーについては封印して選挙戦に挑んでいますので、あまり“ガラスの天井”があるよということをみんなに気付かれたくないのでしょう。そこにこの問題の根深さがあり、まさにその状態こそ“ガラスの天井”と呼ばれるような状態かもしれないですよね。
■女性や子どもの犠牲広がる中東情勢──“タフさ”を示すか?弱者に寄り添うか?
飯塚:イスラエルによる攻撃で、ガザ地区で被害にあっている人たちの多くが子どもや女性という弱い立場にある人たちです。ハリス氏は寄り添う姿勢を示していますが、結局はイスラエルへの武器支援などの基本姿勢は変わらない。そういったところはどう評価されていますか? 三牧:今ガザでは犠牲者の数が多い中で、女性や子どもが7割ほどということで、やはり初の女性大統領として、こうした弱い者を守るというスタンスを本当はもっと支持者も期待していると思うんですね。 アメリカは非常に親イスラエル世論が強い社会ではあるんですが、民主党支持者に限ると、パレスチナ連帯は若い世代から強まっていて、ハリス氏にもう少しパレスチナの人たちの命を守る政策をとって欲しいと思っています。より直接的には、「イスラエルに武器弾薬を送るのを止めるべき」という意見は夏の数字だと7割くらいになっているんです。「口だけのバイデン政権の政策とは違い、もっとガザに寄り添う」と言いつつ、政策が全然変わってないことに幻滅している市民も少なくありません。 ここでもタフさを打ち出すのか、それとも共感的に弱者に寄り添う姿勢を示すのか。ハリス氏はレトリックでは共感を示しつつもタフな政策を続けてきました。選挙戦で最終的にどういう結果を招くのかは注目です。 飯塚:今激戦州とされる7州の世論調査ではかなり接戦で、トランプ氏が少し上回ってきているような感じも出てきていますが、果たして女性初の大統領が生まれるのかどうかというところをどう考えていますか? 三牧:4年前のトランプ政権期のマイノリティー差別的な政策や民主主義の危機を思い出して、色々不満はあるけれどハリス氏に入れるのか?この4年間で不法移民問題やインフレ問題を民主党政権が解決できなかった上、ガザの問題に関してはほとんど共和党と変わらないスタンスだったことで、もう民主党に見切りをつけて、トランプ氏に託すのか?今、アラブコミュニティにしても若者にしても、どうしようという揺らぎの中にいる人は少なくないと思いますね。
■Talk Gender~もっと話そう、ジェンダーのこと
日テレ報道局ジェンダー班のメンバーが、ジェンダーに関するニュースを起点に記者やゲストとあれこれ話すPodcastプログラム。MCは、報道一筋35年以上、子育てや健康を専門とする庭野めぐみ解説委員と、カルチャーニュースやnews zeroを担当し、ゲイを公表して働く白川大介プロデューサー。 “話す”はインクルーシブな未来のきっかけ。あなたも輪に入りませんか? 番組ハッシュタグ:#talkgender