トランプ氏がZ世代“男性”に人気…ハリス氏も「タフさ」強調し「女性」や「人種」封印の狙いは?【米大統領選】
■ハリス氏が獲得できない黒人男性票
飯塚:最近黒人男性の中でハリス支持が伸び悩んでいるという報道も出てきています。 三牧:バラク・オバマ元大統領がハリス氏のキャンペーンに動いています。黒人男性の票が伸び悩んでいるところに駆けつけ、「あなたたちは黒人でありながら、黒人女性大統領見たくないのではと疑ってしまう」「黒人男性として、黒人女性のハリス氏を後押ししよう」というふうに訴えていたんですが、その訴えかけは逆効果だったのではとも言われています。 黒人男性がハリス氏をなかなか支持できない背景には、黒人女性に対するまなざしもあるかと思いますが、不法移民問題、経済対策に関して、この4年間のバイデン政権を見て、「やっぱりトランプ氏に託したい」という人もいるので、民主党ももう少し、黒人男性がなぜ離れているのかについての分析やメッセージングが必要だったと思います。 飯塚:トランプ氏はそうしたことがうまいですよね。 三牧:「数々の裁判を抱えて、司法を武器化されて犠牲者になっている」「そうした警察や司法によって痛めつけられてきた黒人の気持ちがわかる」と言うのは、メッセージ自体の妥当性はさておき、心に刺さるところはあるようです。
■“白”を着ないハリス氏の狙い…“ガラスの天井”「みんなに気付かれたくない」?
飯塚:“男らしさ”みたいなものを求めているところもあるんですか? 三牧:おっしゃる通りですね。今、アメリカを取り巻く環境を見ると、外ではウクライナ戦争に加えて、パレスチナ自治区のガザでイスラエルの軍事行動と、国外の戦争に軍事支援等の形で関係しています。国内で見れば歴史的な数の不法移民がやってきて、若い層のみならず、アメリカ全体で自分たちの暮らしをどう守るかと内向きになっているところがあります。そうした中でトランプ氏のような、“男らしさ”を全面に打ち出した強いリーダー像に対する憧れや頼りになるという感覚が生まれています。 また、「女性に国家安全保障がちゃんと担えるのか」という偏見もあり、ハリス氏もタフさをかなり出していかなければいけません。9月の討論会では、独裁者プーチンなどに融和的なトランプ氏に対して「私は融和せず、独裁者とも決然と対峙していきます」と、ハリス氏の方がむしろタカ派で強硬なことを言っています。