「グリーンのサファイアガラスも個性的です。ガラスを横から見ると、ガラスがいかに緑色であるかがわかり、ドラゴンボールZのドラゴンレーダーを思い出させます（笑） 調べてみると、ミルガウスのブレスレットについてはネガティブな意見もあるようですが、サイドのコマがサテン仕上げ、センターはポリッシュ仕上げになっています。僕はこのポリッシュされたセンターリンクが文字盤とグリーンのサファイアガラスを引き立てて時計のバランスを良くしていると感じるので、ブレスレットの見た目も気に入りました。 そして遊び心ある稲妻の秒針も……僕はあまり真面目な人間ではないので、僕の性格によく合っていると思います（笑）」 実際に買ってみての感想は？ 「本当に良かったです！　父がロレックスの時計を買って以来、13歳の頃から時計に魅了されていましたが、実際購入するのは初めてだったんです」 初めての時計だったんですね。そして、時計に興味もったのはお父様の影響だったのですか？ 「はい。自分がまだ中学生だった頃、父がロレックスの時計を買うのを見ていました。彼は、借入金をすべて返済したタイミングで黒赤ベゼルのGMT マスター II（通称コーク） を購入したんです。文字どおり、“赤”から“黒”になったタイミングで！ 経済的安定への移行を象徴するベゼル。時計は単なる贅沢品ではなく、時計のストーリー、購入した人の物語があることを知り、このストーリーは、僕に大きな影響を与えています」

印象的なエピソードですね。 「はい。その分、最初の時計購入というのは、自分の中でも“重要なマイルストーン”、“達成と安定”を表すものだと考えていました。 2012年に父が亡くなったとき、父の持っていたGMTマスターを譲り受けたのですが、その時計は愛する父の功績や成功を象徴していましたし、もちろん大好きです。でも、それは自分の功績を表すものではありませんでした」 なるほど。 「そういう意味で、ミルガウスを購入したのは結婚を祝うためでしたが、自分へのご褒美でもありました。私はこの時計を4年以上所有していますが、いまでも私のお気に入りの時計です。普段からも一番身に着けていて、少し傷もありますが、それは僕がこの時計をどれだけ気に入っているかを表しています」 思い入れと自分の功績が詰まったファーストウオッチ……素敵なエピソードです。 そういえば、たしかミルガウスは生産中止になりましたよね。 「はい、ロレックスは2023年にミルガウスの生産を終了したので、その後価格も上昇しました。ミルガウスを買って以来、ほかにも時計を購入したり、売ったりもしましたが、この時計は売るつもりはないです。なので、価値が上がることはあまり気にしてないのですが、ちょうどコロナ禍で販売中止になる直前のいいタイミングで買えたのはよかったなと思っています」 私もそんな思い入れのある時計を、何かの節目に購入したいと感じました。次に気になっている時計などはありますか？ 「ドイツのデザインのファンであり、グラスヒュッテ・オリジナル、ハンハルト、ノモスなどのドイツ製の時計をいくつか所有しています。いま、ポルシェ デザイン by IWCのオーシャン 500のヴィンテージを検討しています。とてもユニークな時計ですが、いまは過小評価されていると思います」 ありがとうございました！ お父様から影響を受けたというストーリーや、ファーストウオッチに込める素敵なエピソードを聞いて、私も節目のタイミングで、思い出に残る時計をゲットしたいなと改めて思いました。 引き続き、この連載とともに、皆さんの時計にまつわるストーリーを聞いていくことを楽しみにしています。