【周回遅れの東京大学②】今も残る「東大は男のもの」意識、変えるカギは東大の「外」に
■ 東大がDEIの手本となるために ──男女比率の歪みを是正する工夫をしている大学で、手本としたいような大学があったら教えてください。 矢口:いろいろな大学がそれぞれ工夫、努力をしていますが、劇的に改善したという大学の話は聞きません。 ぱっと頭に浮かぶのは、最近理工系の大学や学部が設けている「女子枠」です。ただ、それを手本と言っていいのか、私は少し懐疑的です。 というのも、今の「女子枠」はあまりにも小さすぎるのです。大きな大学の大きな学部の特定の学科にだけ女性を入れることよりも、もっと抜本的な何かが必要なのではないかと感じています。とは言え、「女子枠」がいくつかの大学で設置されたこと自体は、良いことだとは思っています。 手本となるような大学が出てくることを望んでいますが、現状、どの大学も苦労している段階だと思います。 ──東大自身が手本とならなければ、という想いはありますか。 矢口:もちろんです。東大では、今、藤井輝夫総長と、ダイバーシティ国際担当の林香里理事がリーダーとなり、教員一丸となってこの問題に取り組もうとしています。 学内的には、ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョンが非常に大切であるという意識は、この5年でかなり強くなったと実感しています。お手本となれるような結果を残すべく、今後も多方面への働きかけを続けていきたいと思います。 関 瑶子(せき・ようこ) 早稲田大学大学院創造理工学研究科修士課程修了。素材メーカーの研究開発部門・営業企画部門、市場調査会社、外資系コンサルティング会社を経て独立。YouTubeチャンネル「著者が語る」の運営に参画中。
関 瑶子