レッドブル&HRC密着:最新フロアを搭載もライバルに敵わず“モンスター”に苦労。戦略では自ら逆転の可能性を絶つ
F1第16戦イタリアGPを7番手からスタートして、6位でチェッカーフラッグを受けたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)。このポジションアップもコース上での実力によるオーバーテイクではなく、スタート直後に1コーナーをショートカットしてコースに合流してきたジョージ・ラッセル(メルセデス)を直後の4コーナーで交わしたものだった。 【写真】2024年F1第16戦イタリアGP フェルスタッペンは1回目のピットストップでハードタイヤを装着し、2ストップ作戦で戦うことを選んだ それ以外、このレースでフェルスタッペンは誰も抜くことができなかった。決してコーナーが多いわけではないモンツァにも関わらず、コントロールするのが難しい今週末のRB20を「モンスター」と表現し、こう続けた。 「次のバクーまでに、基本的にクルマ全体をオーバーホール(分解して再び組み立てること)をしなければならない」 チーム関係者によれば、今回フェルスタッペンが使用したフロアは前戦オランダGPでセルジオ・ペレスが使用した最新スペックだった。にも関わらず、予選・レースともにマクラーレン、フェラーリ、メルセデスに太刀打ちできなかった。 このままでは、コンストラクターズ選手権はもちろん、ドライバーズ選手権で首位から陥落するのは時間の問題だ。 この日、レッドブルがトップ3と互角に戦うことができなかったのは、モンスター化したマシンだけが理由ではない。これまでレッドブルが得意としてきたピットストップ戦略とタイヤ交換作業においても疑問とつまずきがあった。 「いまにして思えば、2ストップは最適ではなかった」 優勝したシャルル・ルクレール(フェラーリ)が1ストップで逆転優勝したのを見て、フェルスタッペンが指摘しているのではない。ハードタイヤでスタートしたフェルスタッペンが1回目のピットストップで履いたのがハードタイヤだったことだ。これではミディアムタイヤに交換するためにもう一度ピットストップしなければならないず、2ストップ作戦に固定されてしまったからだ。セーフティーカーが導入されても、それを活かして逆転する道を自ら絶ったことになる。 さらにタイヤ交換作業で右リヤタイヤに時間を要した。コースに復帰する際、フェルスタッペンはステアリングホイールを叩いて悔しがった。 その行為をクリスチャン・ホーナー代表はポジティブにとらえている。 「今日のレースで印象的だったのは、マックスがあんなポジションを走りながらも、本当に真剣に取り組んでいたことだ。彼はパニックになっていない。少しでも早く走ろうとエンジニアやメカニックたちを鼓舞している。問題点を明確に説明し、ダメなところは遠慮せずに指摘する。今朝も早くからサーキットに来ていた。先週はズーム会議にも出ていたし、次のレースの前にはシミュレーターにも乗るだろう。彼は本当に懸命に取り組んでいる」 その努力が実を結ぶのかどうか。すべては今回持ち込んだアップデートの理解と今後のさらなるアップデートにかかっている。 [オートスポーツweb 2024年09月02日]