逆転の国学院大2冠 平林だけじゃない!アンカー上原、青学大突き放し初V
<全日本大学駅伝>◇3日◇熱田神宮西門前~伊勢神宮内宮宇治橋前(8区間106・8キロ) 国学院大が初優勝を飾り、史上6校目の大学3大駅伝「3冠」に王手をかけた。 5時間9分56秒で10月の出雲駅伝に続く連勝を収めた。5区の野中恒亨(2年)、6区の山本歩夢(4年)の連続区間賞で2位へ浮上すると、最終8区の上原琉翔(3年)で逆転。7区出走のエース平林清澄(4年)に頼り切らないチーム作りが奏功した。スローガン「歴史を変える挑戦」を成就すべく、来年1月の箱根駅伝初優勝へ突き進む。 ◇ ◇ ◇ 7区を走り終えた平林は、前田康弘監督への電話で思わず涙した。「申し訳ない」。首位の青学大と4秒差の2位でタスキを受けながら、その差を埋められず、同じ4秒差のままタスキ渡し。「自分との勝負に負けた」と悔しさが募った。ただ、ゴール地点へ向かうバスの車中でアンカー上原の逆転劇を見ると、それはうれし涙に変わった。「良いところ、持っていかれたな」。チーム一丸での初優勝をかみしめた。 打倒平林-。新チーム発足時から、自然とその雰囲気が共有されている。2月の大阪マラソンを初マラソン日本最高記録で制した平林は大黒柱ではあるが、同時に超えるべき存在と見立てた。下級生は寮の食事や風呂場で「平林さん、普通に勝ちますよ」と口にし、常に闘争心を燃やしてきた。その日常の延長線にあった今大会。上原は朝、平林にLINEを送った。 「僕はどの選手が来ても倒すので、落ち着いて走ってください」 上原には確信があった。「誰が来ても勝つ自信があった」。チームは日頃から、記録会でタイムを狙うのではなく、単独走の練習を徹底。だから青学大を4秒差で追いながらも、10キロ地点で前へ出ることができた。「単独走の練習ができていたからこそ、自分のタイミングで仕掛けられた」。一気に後続を突き放していった。平林への対抗心と練習で培ってきた力が組み合わさり、勝負強さにつながった。平林の自責の念を救うことにもなった。 6区で区間新記録をマークした山本は、チーム全員に根ざす思いを代弁する。「平林だけと思われたくないとみんな思っている。だから『平林に勝ちたい』と言う。今回は全員で証明できた」。3冠がかかる箱根路でも、全員で輝いてみせる。【藤塚大輔】 ◆大学3大駅伝での3冠 10月の出雲、11月の全日本、1月の箱根と全ての駅伝で優勝すること。過去に達成したのは、90年度大東大、00年度順大、10年度早大、16年度青学大、22年度駒大の5校。3冠を2度達成した大学は出ていない。