現役レスラー高橋ヒロムのDJ抜てき、フェスで試合…FM802のロック魂光る新日本プロレスとのコラボ
【「ききみみ 音楽ハンター」特別編/FM802×新日本プロレス(1)】スポニチ大阪発の音楽コラムとして、さまざまなアーティストや楽曲、ライブや音楽イベントの魅力を掘り下げてきたが、今回はFM802と新日本プロレスの新たな展開に注目した。802関係者、新日本プロレス・高橋ヒロム選手へのインタビューを敢行。5回にわたり特集する。(萩原 可奈) FM802に今年10月、異色の新レギュラーDJが誕生した。新日本プロレスの現役レスラー、高橋ヒロム(35)だ。平日夕方の番組「EVENING TAP」(月~木後6・00)火曜日6時台の20分枠「ELECOM Escuchame(エスクチャメ)802」を担当。同局・岩尾知明専務によると、802で現役スポーツ選手がレギュラーDJを務めるのは「おそらく初」という。 802は“関西No.1ミュージックステーション”として長年君臨し、選曲も人選も厳しいイメージがあるが、面白さや新たな可能性を求めて攻めに出る“ロック魂”の持ち主でもある。1989年の開局以来、「よそと違うことがやりたい」という精神が根付いているという。 新日本プロレスとの本格的な交流は、関西最大級の音楽フェス「RADIO CRAZY」(通称レディクレ)に始まる。大阪で大みそかに行われていたフェスが閉幕した際、ナニワのロックシーンを絶やすなかれ!と802が引き継ぎ、09年に始めたイベントだ。“ロック大忘年会”と銘打ち、豪華アーティストが集結。会場にこたつエリアを設けるなどユニークな仕掛け満載で、無二の存在感と人気を誇る。 同フェスのキャラクター「クレイジーマン」がプロレスのマスクマンという縁もあって、場内で行われる餅つき大会に屈強な新日本のレスラーが登場するようになり、毎年1月4日の新日本年間最大興行「WRESTLE KINGDOM」のPRも行った。 両者の親交が続く中、音楽好きでトークも達者なヒロムが番組ゲストに呼ばれることが増えた。22年の夏フェス「サマーソニック」では大阪会場のスペシャルレポーターと前説を担当。岩尾氏はその日のヒロムの行動に驚いたという。「いくら音楽好きとはいえ、あの暑さ。好きなバンドだけ見るのかと思ったら、最初から最後までずっとライブ見てたんですよ」。真の音楽好きと悟った岩尾氏は、ヒロムのレギュラー番組を思い描き始めた。 2年後に構想は実現。20分とはいえ、現役バリバリの選手がたったひとりで進行する異例の番組がスタートした。「想像以上にいい。彼は真面目だから、自分の中で今日は何語ろうとか、終わった後も自分のしゃべりを聴いて、次来るまでに課題を解決してくる。熱心ですよ」と、岩尾氏はヒロムの姿勢や人柄を称賛した。 同番組が大きな弾みとなり、今年のレディクレでは新日本プロレスのスペシャルマッチ3試合を初開催。フェス会場にリングが設置され、音楽を見に来たファンの度肝を抜き、プロレスの迫力と面白さを伝える場となった。 音楽もプロレスも愛する岩尾氏は言う。「音楽もドラマがあって歌詞があって成立するし、プロレスも試合の前後含めてドラマを演出してくれる。音楽とプロレスは親和性が高いんです。なのにプロレスファンがライブにどれだけ行ってるか、音楽ファンがプロレスをどれだけ見ているかといえば、そこは怪しい。だから802がプロレスと音楽を掛け合わせる媒体になればいいなと思います」 まだまだ伸びしろを秘めた802と新日本プロレスのコラボ。次回は、その「顔」を担った高橋ヒロムへのインタビューを届ける。彼も今回の融合に大きな可能性を見出していた。