毎年の「昇給額」はどれくらいが一般的ですか? 「公務員」と「民間企業」それぞれの平均を教えて!
昇給は、働く人にとって大きな関心事の一つです。しかし、公務員と民間企業では、昇給の仕組みや金額が異なります。この記事では、公務員と民間企業の平均的な昇給額を比較し、それぞれの特徴について解説します。 ▼「公務員は安定している」って本当? 定年退職の割合や退職金の平均額を教えて!
昇給の基本
昇給の基準には、業績・勤続年数・スキルの向上などが含まれ、計算方法は企業によって異なります。 多くの企業では、定期昇給が年に一度実施されますが、これは労働組合と経営者の協議を経て決定されるのが一般的です。定期昇給の仕組みを導入している会社では、毎年、従業員の給与が見直されます。 また、臨時昇給や特別昇給は業績の向上や重要なプロジェクトの成功など、特定の要因に基づいて行われることがあります。これにより、従業員の貢献度に応じた適切な報酬が提供されるのです。 さらに、社員の勤続年数と共に年齢が上がり、生活スタイルや家族構成も変化します。入社当初の給与では生活水準の維持が難しくなることもあるため、ライフステージの変化に対応することも昇給の重要な目的のひとつとされています。
公務員の昇給は俸給表の値に基づいて計算
職種や評価によって異なりますが、公務員も民間企業同様に昇級があります。公務員の昇給は、俸給表に基づいた「級」と「号」という区分で計算されます。 以下の表1は、実際に人事院が発表している行政職の俸給表です。 表1
※人事院「行政職俸給表」を基に筆者作成 例えば、2級の1号棒に位置されていた場合、その時期の給料は20万8000円です。 なお、俸給表は自治体や業種によって異なります。一般的には毎年数千円程度の昇給が見込まれるようですが、昇給額は自治体や業種によって異なるため、一律ではありません。 国家公務員の場合、2024年度の給与改定で月給が平均2.76%引き上げられるよう勧告されています。これは、物価高や人手不足を受けて民間企業との格差を埋めるための措置だとされています。
民間企業の平均的な昇給額
民間企業の平均的な昇給額について、中小企業と大企業それぞれのデータを見ていきましょう。 ■中小企業の場合 日本経済団体連合会(経団連)は、2024年6月13日に中小企業の月例賃金引き上げに関する春季労使交渉の結果を発表しました。 2024年の春季労使交渉結果による平均的な昇給額は以下の通りです。 ・中小企業全体: 総平均引き上げ額は1万420円 ・製造業: 平均引き上げ額は1万1042円 ・非製造業: 平均引き上げ額は9286円 調査対象は17業種754社で、226社のデータを基に総平均引き上げ額は1万420円、昇給率は3.92%でした。引き上げ額が1万円を超えるのは1992年以来、昇給率が3%台後半になるのは1993年以来の高水準です。製造業は引き上げ額1万1042円、昇給率4.12%、非製造業は9286円、3.53%でした。 ■大企業の場合 経団連は2024年8月5日に、大手企業の春季労使交渉結果を発表しました。 2024年大手企業の春季労使交渉結果による平均的な昇給額は以下の通りです。 ・平均的な昇給額は1万9210円 賃上げ率は5.58%で前年より1.59ポイント増、引き上げ額は1万9210円で5848円増加しました。この賃上げ率は1991年以来の高水準で、引き上げ額は1976年以降で最高となっています。物価上昇や人手不足を受けて、労働組合の要求に大手企業が応えた結果、歴史的な賃上げが実現したようです。 全体として、賃金の引き上げが中小企業と大手企業の両方で顕著であり、特に大手企業においては歴史的な高水準に達していることが、労働市場の動向を反映しています。