商戦真っ盛り「おせち」 2025年向けの予約前に押さえるべきポイント
予約注文おせちは今や一大市場だ。百貨店や食品スーパー、コンビニ、外食店、総菜店など、参戦する業態は多く、約800億円規模に膨らむ(富士経済「2024年の重詰おせち市場」、2024年4月)。そして現在、25年正月向けの受注が真っ盛りだ。 【関連画像】ファミリーマートの背徳おせち 彩豊楽+にんにくマシマシ明太子もつ鍋セット。税込み1万6740円(送料込み)。購入方法は公式サイトのみで、24年12月20日17時59分まで。数量限定。完売次第、販売終了 おせち料理のトレンドとして外せないのが、消費者の好きなメニューだけで構成する“アラカルト方式”だ。近年、SNSでは「欲望おせち」という造語が飛び交っている。 一口目から最後まで自分好みのメニューが続けば、新年早々、気分は盛り上がり、大きな満足感を味わえる。そうしたニーズに応えるのが、高島屋の「よりどり彩りおせち」。35品から12品もしくは9品を選んで“マイおせち”を完成させる。「消費者からは、好きなものだけを選べると喜ぶ声が寄せられている」(高島屋)という。 3年目となる今回の25年正月向けは選べるメニューのバリエーションを拡大し、高級食材のキャビアやからすみなどが加わった。同じメニューを何点選んでもいいので、極端な話、「キャビアだけのセットを味わい尽くす」といった楽しみ方もできるわけだ。 こうした人気の背景にあるのは、味に対する消費者の嗜好の多様化だ。伝統的なおせち料理や製造・販売サイドが考える構成内容では満足できない消費者が増えてきた。この文脈を突き詰めた一つのかたちが、肉満載のおせち商品だ。
ファミマはもつ鍋とのセットを商品化
例えば通販おせち大手の博多久松(福岡・粕屋町)では「肉づくし重」が人気。19年の発売以来、売れ行きは好調でリピーターもついているという。25年向けは「黒毛和牛のステーキ」や「蒸し鶏バジル」「豚ばらチャーシュー」など計17種類の肉料理を詰め込んでいる。ローストビーフはももとサーロインの2種類が入っていて、食べ比べが可能だ。 また、そごう・西武は3段重のうちの1段にロースト肉を敷き詰めたおせち商品を発売。和牛や豚・鶏に加えて、アイガモや子羊の肉も味わえる。 また、ファミリーマートの取り組みも目を引く。伝統的なメニューで構成されるおせちに、「にんにくマシマシ明太子もつ鍋」をセットにして販売する。背徳感のあるごちそうだ。24年正月向けはすき焼き用宮崎牛やズワイガニとのセットが好評で、そのラインアップにパンチのあるもつ鍋が加わった。 予約注文おせちの選び方についても、市場全体に新たな波が広がっている。価格を抑えたお試しセットが人気だ。これは本番の正月を迎える前に味付けなどを確認するため、少量タイプを試食できるものだ。ハレの日の代表格である正月ならではの商品だろう。 07年から商品化している博多久松は、「解凍方法や解凍後の味に不安を覚える消費者は多い。そこで現物と変わりない縮小版を開発することになった」と経緯を説明する。近年は後追いする競合が増えてきたという。
平田 秀俊