登山のためのカロリー摂取/執筆:片岡メリヤス
登山をやっているとカロリーに敏感になる。いかに高カロリーを摂るか。食べないと動けない、それに尽きる。 片岡メリヤスさんの1ヶ月限定寄稿コラム/TOWN TALK 私がはじめて山で食欲を無くしたのは、10年くらい前に行った八ヶ岳縦走。 縦走コースはこんな感じ↓ 【蓼科山登山口~蓼科山~双子池ヒュッテ (テント泊)~北横岳~縞枯山~茶臼山~丸山~黒百合ヒュッテ(テント泊)~天狗岳~硫黄岳~赤岳~キレット小屋(テント泊)~権現岳~編笠山~自然歩道ハイキングコース~小淵沢】
赤岳を下り、キレット小屋で菓子パンを食べた時、今まで普通に食べていた菓子パンが何か変なのだ。腐っているとかじゃなく、まずい。添加物なのか、そのような何かを強く感じる。パンの味がしない。でも食べないと体力回復しないから無理矢理食べた。あの菓子パンの味は今でも鮮明に残っている。 その後もアルプス級の登山で疲れると、食べ物がまずく感じたり、食欲が湧かなくなったり、喉が詰まって飲み込むのが大変ということが多々あった。疲れると食べる行為にも疲れてしまって、無理矢理食べるのがすごくしんどくてキツい。カロリーが摂れないとパワーも出ないし、色々と良くない。 こんなんじゃダメだ! と数年間ずっと思っていて、ようやく1年前から食べる練習を始めた。それは山の中でするのではなく日常での練習。
私はどちらかというと食が細く野菜多めの食生活。肉系油系味濃い系のパワー系の食事が苦手だし量が食べられない。それらを克服しつつ、日常の食べる量を底上げすれば、山でも食べられる量が増えるのでは? という考えのもと、“毎日しっかり食べる!”をスローガンに生活を続けた。特にお肉など普段からあまり量を食べられないものを意識的に。肉は生命が強くて食べるのにもエネルギーが必要だから、モリモリ食べるのは私には難儀。でも、少しずつ、少しずつ、食べる量を増やした。 今ではカツカレーを注文することがあるくらい成果が出ている。自分の人生で自主的にカツカレーを注文する日がくるなんて感動! 食べる練習なんてしたら太るかも……と思ったけれど、もはや太るとか痩せるとかそんな事は どうでも良くて、登山中にモリモリ食べられるようになりたい気持ちが強い。そのくらい私は登山が好きだということだ。 食べる練習は今でも続いている。まだまだ理想には遠いけど、最近は疲れてても量を食べられるようになってきた。ちょっとずつ成長して年寄りになった頃には、周りが驚くくらいバカ食いしたい。
プロフィール
片岡メリヤス 2011年から作家活動を開始。飾るだけではなく遊べて愛のあるぬいぐるみを制作する。また自ら脚本出演も行うオリジナルの人形劇を各地で上演しているほか、漫画、ドローイング、木工、粘土など様々な作品を手掛ける。近年は異ジャンルのアーティストとのコラボレーションや広告への作品提供など幅広く活動中。 text: Meriyasu Kataoka, edit: Fuya Uto
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