「世界で最も美しい美術館」、多島美モチーフに
国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)が創設した「ベルサイユ賞」の美術館・博物館部門に、広島県大竹市の下瀬美術館が輝いた。世界的な建築家・坂茂さんの設計で、瀬戸内海の自然美をモチーフにしたデザインなどが評価され、「世界で最も美しい美術館」の称号をつかんだ。 昨年3月に開館し、敷地面積4・6ヘクタール。広島市西区の建材メーカー「丸井産業」創業の下瀬家が収集した日本人形や、フランスの芸術家のエミール・ガレのガラス工芸品などを展示する。 【写真】人々の心を魅了してきた瀬戸内海の多島美(倉敷市の鷲羽山山頂で)
2015年創設のベルサイユ賞は10年目の今年、ホテルや空港など従来の7部門に、美術館・博物館部門が追加された。中国やエジプトなどの7施設がノミネートされ、パリのユネスコ本部で2日に行われた表彰式で、下瀬美術館が選ばれた。 特に評価されたのが、青や黄、ピンクなど色とりどりのガラスで囲まれた、水面に立つ八つの箱形ギャラリーだ。瀬戸内海の島々をイメージしたもので、水位を上げて浮かせることで配置も変更できる。坂さんは「海に面した環境を最大限に生かしたイノベーティブなデザインが評価された。自由に設計させてくれたことに感謝している」とコメントした。 季節の草花を楽しめる庭や、多島美を望めるテラスも人気を集める。同館の担当者は「受賞は大変光栄でありがたい。自然と調和した建築物で様々な芸術作品に触れ、新しい感動を味わってほしい」と話した。