特殊詐欺ルフィグループ“美人かけ子”寺島春奈被告(29)が被告人質問に出廷 フィリピン行きのきっかけは「恋愛ポエム」のTwitter
犯罪グループの人は「もっと悪そうな雰囲気」と思い込んでいた
一般的な感覚からは、一度「受け子」をやらせたような相手から再び紹介された仕事など、警戒してしかるべきだろう。そのような思考に至らなかった背景には、ササモリとともに被告人をグループへいざなったもう一人の人物がいる。 その人物の名前については「覚えていないが、たくさんいるかんじの名字だったと思う」(被告人)というが、ササモリとのやりとりがメッセージのみだったのに対して、この人物とは何度か通話をしている。 「まじめで、明るそうな人でした。犯罪グループの人はもっと悪そうな雰囲気だと思い込んでいたこともあり、何度か話しているうちに勝手に大丈夫だろうと信じてしまいました。(なぜ警戒しなかったかは)ちょっと説明しづらいんですが…」(被告人) 具体的な仕事内容や条件は聞かされていなかったものの、漠然とリゾートバイトをイメージしていた被告人は、「女性もいるし、いろいろな年齢の人が和気あいあい楽しく働いている」「まずはフィリピンまで見に来て、いいと思えばやったらいいよ」など言葉たくみに誘われ、気持ちが傾いていく。 また「何かあったらササモリさんもいるしな」という考えも安心材料になっていたようで、最初に特殊詐欺グループと接点を持ったとされる翌月の11月3日、ついにフィリピンへと渡った。 なお被告人はササモリのことを、Twitterのアイコンや投稿内容、メッセージの文面などから女性だと思い込んでいたが、フィリピン渡航後、実際には男性だったと判明している。
かけ子をすると知り「えっ」と思ったが…
3日夜遅く、一人でフィリピンの空港に降り立った被告人を出迎えたのは「ムラノ」という男。グループが拠点としていたマニラ市内の「ウエスト・マカティ・ホテル」へ行き、その日のうちに“管理者”だという「オオイシ」と軽いあいさつをした。このときのことを、被告人は次のように振り返る。 「『これからよろしくね』みたいな、(被告人が)働くつもりで来ていると思っているんだろうなという口調でした。(記憶はあいまいだが)まだ働くって決めてないのになと思ったのは覚えています」 渡航にあたってグループから往復航空券(復路は12月中~下旬)を渡されていたこともあり、被告人は「帰りたかったら帰ればいいかな」くらいの感覚だった。しかし翌日、自身がこれから「かけ子」になると知る。 「えっ」と思ったが、渡航前に個人情報を渡していたこともあり「しません」「できません」「帰ります」などと断われず、流されるようにかけ子となってしまった。 組織については、当初はオオイシがリーダーだと思っていたが、徐々に「もっと上層の人がいる」「日本で動いている人がいる」とわかってきたそうだ。