「同意あった」は”常套的言い訳” 一転無罪主張の元大阪地検トップに勝ち目はあるのか 被害女性は「こそくな主張」と声震わせる 元検事・大澤孝征弁護士解説
法律のプロが主張変えるのは「意外」 被告の元検事正には不利か
元検事正の被告が主張を一転させたことと、今後の裁判の見通しについて、元検事の大澤孝征弁護士の話です。 大澤さん:裁判の中で主張を一転させることは一般の人ではよくあることだが、被告が法律のプロであることを踏まえると意外に感じる。主張を変えることで裁判官からの印象は悪くなる。初公判で裁判官は「これが証拠になる」、「黙秘権もある」と必ず伝える。それを踏まえた罪状認否で「公訴事実を認める」と言うということは完全な自白であって、高い信用性もある。このため、これを覆すのは厳しい道のりになる。 「同意があった」という主張も性犯罪事件の常套的な言い訳だ。一度認めた理由について「検察庁に迷惑をかけたくない」と語ったが、これが大阪地検の元トップのすることかということで、検察への批判はむしろ強まるのではないか。
過去に被害女性へ1000万円受け渡しも返金 背景には強い処罰感情か
10日、北川被告の弁護人から過去に金銭の受け渡しがあったと言及がありました。 北川被告の弁護人によると、事件翌年の2019年11月、女性側の代理人から北川被告に対し、女性と夫に合計1000万円の慰謝料を支払うよう請求がありました。北川被告は、この1000万円で民事の請求に関しては応じ、解決したと理解していました。 北川被告が逮捕された後、女性の代理人から1000万円返金をしたいという申し出があり、ことし7月に返金に至ったということです。 これについて11日、元部下の女性検事は「口止めをされて被害申告ができなくなった。訴えられないならせめて罪を償わせるために、夫と500万円ずつ賠償金を要求した。そこで示談もしていないし許すなんて一言も言っていない」と説明しました。 お金を返した背景には強い処罰意思を示そうとしたことがあるということです。
大沢さん:不法行為を賠償するのは不法行為を行った者の義務。示談で解決という形であれば、被告を「許す」という言葉が出てくる。それがないということは、あくまで賠償金の一部として受け取ったということになる。ただ、お金を払っていれば被告に有利になる側面がある。これを被害者が返していることの意味は、受け取ることによって被告人が有利になることを防ぐためと考えられる。
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