印鑑にトヨタ車の絵 老舗店が作った人気商品開発の裏側
愛知県岡崎市にある明治31(1898)年から続く老舗印鑑店「小野印房」。ここで発売されたある印鑑が人気を集めている。9月16日にインターネットで販売を始めると、24時間でなんと300個の注文が全国から集った。その正体とは、2000GTやスープラ、ランドクルーザー70など、トヨタの名車23種の印鑑だ。イラストと彫刻文字、書体など自分の好きなものを選べる完全オーダーメイド。実名入りであれば銀行印としても使用できる。自治体によっては実印として登録することも可能。今回はそんな人気商品の開発の裏側に迫った。 「ランクル70」復活 ならば「ハチロク」再生産もあり得る?
「印鑑の中に車の絵を入れたら面白そう」
24時間で300個を売り上げる印鑑を作成したのは、小野印房で4代目を継いだ小野洋平さん。もともと車が好きで、印鑑の中に車の絵を入れたら面白そうと思い、3年ほど前にトヨタの人気車86の印鑑を製作。すると、それがトヨタ公認の公式グッズとして認められた。 小野印房は昨年の東京オートサロンに、目立つオレンジ色のトヨタ86のデモカーを出展。社名を入れたド派手な車はレースにも出場しているので、86ファンならずとも注目を集めた。 「大人気だったのでこれは売れるだろうと期待をふくらませていましたが、話しにならないくらい売れませんでした」と小野さん。そこで、色々な方からアドバイスをもらい、バリエーションを増やしてリトライしてみようということになり、今回のトヨタ名車印鑑をつくる運びとなったと語る。86印鑑の実績もあり、製品化は非常にスムーズに進んだ。
印鑑ケース・マットの製作と次作への意欲も
トヨタ自動車には様々な名車があり、車種の選定に大変迷ったという。また、各車種の特徴をつかむのも非常に難しく、デザインに使用する写真を撮るため、県内のトヨタ会館やトヨタ博物館に通い詰め。普段の仕事と並行して行うためさぞかし製作はハードだったと予想されるが、小野さんは「両館は会社から比較的近いところにあり、配達のついでに行くことができ思っていたよりは楽でした」と語る。 その甲斐あってか、商品は同社の歴史の中で類を見ないほどの大ヒット。このことについて小野さんは「多くのトヨタ車ファンの方々に支持していただいたのも要因のひとつだったと思います」と商品がヒットした嬉しさをかみしめるよう語った。 今回の人気を受け、「トヨタ名車印鑑への様々な車種のリクエストをいただいています。その期待に応えるべく、バリエーションのさらなる充実を検討中。印鑑ケース・マットの製作も進めているのでご期待ください」と次回作への意欲も聞かせてくれた。