劣勢で思い出した涙の歴史と粘りのバレー 女子・福岡工大城東、3度目挑戦で悲願の初勝利【春高バレー】
◆バレーボール・全日本高校選手権 福岡工大城東2―1城南(5日、東京体育館) じっくりとかみしめるように白星を喜んだ。 ■石川祐希、古賀紗理那…バレーボール・パリ五輪代表の「春高」時代【写真特集】 女子の福岡工大城東がフルセットの末に大会初勝利。3度目の挑戦での悲願成就に葛西廣紀監督も「先輩が流した悔しい涙が報われたかな。選手が思いを受け継いでくれた」と笑みをたたえた。 福岡県の新人戦、全国総体予選、今大会予選の「県内3冠」を達成し、自信を持ち乗り込んだ春高のオレンジコート。第1セット(S)は25―15も「少し硬くなった」とチームキャプテンの柚木菜摘(3年)も言うように、簡単にはいかなかった。 第2Sに暗転し、18―25。失点するごとにブロックなどの決まり事も乱れた。苦しい展開の中で福岡工大城東を救ったのは、チームの悔しい涙の歴史だ。エースの和田実久(同)の心に浮かぶ一戦がある。「ああいう経験はもうしたくない…」。 過去の出場2大会は初戦黒星で、2大会前は日本航空(山梨)に敗れた。当時コートに立った和田は「自分たちのバレーができずに、あっという間に終わってしまった」。経験を糧に、粘り強い本来の形をチーム全体で再確認して盛り返した。 第3Sは柚木と藤木七々夏(3年)の2人のリベロを中心に守備が安定。和田と井上咲希(2年)が攻撃の軸となって押し切る得意の形で勝ち切った。和田は「この1勝を自信に変えて次も絶対に勝つ」と歓喜の歴史を刻んでいく決意だ。(山田孝人)