【歯科医 石井さとこさんに40代読者が相談!】歯槽膿漏?怪しい歯のあたりから、不快な口臭がします…
「なぜならば、口腔内トラブルの自己診断は、非常に危険だから。ご自身では『この歯!』とは思っても、実際に医師が診ると、その前後の歯が虫歯になっていたり、歯茎の炎症だったり、実にさまざまな原因が見つかるもの。文面から推察しますが、おそらく定期的な検診をされていないのかもしれませんね。もし、口臭について気になったら、歯科医の検診を受けるのもいいでしょう。痛みなど具体的な症状のないときこそ、早期発見につながります。 受診して歯石をとるクリーニングやブラッシング指導、歯周ポケットの深さを測ってもらうプロービングを行うなど、口臭の原因は医師と共に探るようにしましょう」
口臭の原因はこんなにたくさん
「さて、甘く見てはいけない口臭ですが、その原因にはどんなものがあると思いますか? 実は、皆さんが思うよりも多岐にわたっています。今回の相談者さんのように、口臭対策が自己診断になりがちなのも情報不足が原因ですから、仕方のない側面もありますよね。 そこで最後に、口臭の代表的な原因、種類についても、お伝えさせてください。 1)病的口臭 体の病気が原因で口臭が強くなる。糖尿病に罹っているときは、甘酸っぱいアセトン臭が特徴。 2)生理的口臭 起床時の口臭など、日内変動する口臭は朝食後や歯磨き後など、自然に消失していく口臭。誰にでも起こりうるもの。 3)歯周病 歯槽膿漏によって、歯周ポケット内で増殖した細菌が口臭のもとになる。口臭で最も疑われがちな原因ではあるものの、中等度以下(4度以下)では臭いは出にくい(歯槽膿漏が相当進行していない限りは口臭もひどくならないため、病気自体の発見が遅れることも)。 4)心理的な原因 ストレスによって唾液がネバつき、臭いの原因になる「ストレス口臭」や、実際は臭くないのに、口臭を気にしすぎてしまう「自臭症」など。 たんに口臭といっても、これだけの原因が挙げられます。最近では、歯周病や虫歯などの口腔内環境が、糖尿病や心臓病、脳梗塞、がんなど大病のリスクとも関連すると言われているほど。決して脅しているわけではありませんが、口臭も自己診断したり放置したりせず、どうか定期的な歯科検診の動機づけにしていただけたら…と願うばかりです」
【教えてくれたのは】 石井さとこさん 歯科医師・口もと美容スペシャリスト。歯のホワイトニングを日本で広めた第一人者。女性歯科医師ならではの、歯と体を美しく保つための食事や、歯が美しく見える口もとメイクのアドバイスに定評がある。OurAgeで「口もとビューティ」について記した、「ご機嫌な口もと」を連載中。最新刊『マスクしたまま30秒!! マスク老け撃退顔トレ』(集英社刊)は、テレビなど各メディアで話題になっている。 取材・文/井尾淳子