夜遅い時間の食事、空腹じゃなくても朝食は必須…「おならが増える人」の特徴と対策
夏になると、過酷な環境下で下痢や便秘など胃腸の調子を崩しがちです。なんだか最近おならがよく出る…と気になっている人もいるのではないでしょうか。そこで今回は、中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生が、腸内環境が悪化しおならが増えてしまう人のための食薬習慣と、NG習慣を教えてくれます! 【保存版】1日3食きっちり食べるのが正解だと思っていませんか? 「おならが出過ぎる人」のNG習慣まとめはコチラ
1日3食決まった時間に食べることで起こる不調とは?
【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 273 今年も各地暑い日が続き、「災害を超えた状況」と表現されてしまうほどの酷暑となりました。国からは、都道府県に対して熱中症警戒アラートが発令され、日本救急医学会では不要不急の外出を避けるようにと注意喚起が行われ、SNSでのブーイングが話題になりましたよね。このようにニュースに何度も登場する異常な暑さは、私たちの体に影響を与えないわけがありません。 夏と言えば、食欲不振やお腹が冷えてキュルキュルしてしまう人も多いですが、一方で便秘に悩む人も増えます。便秘と言えば、お腹にガスがたまったり、下腹部だけがポッコリしてしまったり、苦しくなってしまったり。おならに悩む人も多いと思います。そこで、今週は猛暑の中、おならが増えてしまう人のための食薬習慣を紹介します。 今週は、おならが増えてしまう人のための食薬習慣 夏に着たい服と言えば、ちょっとタイトな服ですよね。ただ、下腹のプニプニしているお肉が気になるというかたも多いと思います。とくに暑さが厳しくなってから、気が付いたら便秘気味になり、おなかにガスがたまってしまうという人も多いようです。 便秘がちになってしまうのには、暑さで汗をたくさんかいたり、それを補うための水分摂取が不足したり、冷たいものを摂りすぎて胃腸が冷えたり、エアコンで体が冷えたり、血流が低下したりするほか、自律神経が乱れたり、偏食になったり、食欲不振で単純に食べ物の量が減ったりと、様々な理由があります。 また、それに伴い腸内で悪玉菌が増えることによって、下腹部に便が滞るだけではなく、ガスもたまっていき、おならが増えてしまう人がじわじわと増殖してしまうのです。漢方医学では、夏の環境で『脾胃』の働きが低下し、便秘がちになることで『痰湿・湿熱』がたまり、ガスがたまって『気滞』を感じてしまうことがあると考えます。 そこで、今週は、『脾胃』を労り、『理気』してあげる食薬がおすすめです。今週食べるとよい食薬は、【ブロッコリースプラウトとワカメの酢の物】です。 そして逆にNG習慣は、【1日3食決まった時間に食べると決めつけること】です。 食薬ごはん【ブロッコリースプラウトとワカメの酢の物】 胃腸と肝臓をいたわる小鉢で小休憩しましょう。お腹がガスでパンパンになっているときには『痰湿・湿熱』を取り除き『脾胃』の働きを高めるワカメ、ブロッコリースプラウト、お酢で腸内環境を整えてみてはいかがでしょうか。 <材料>2人分 ワカメ 5g(水で戻す) ブロッコリースプラウト 5つまみ(キッチンバサミで刻む) 酢 大さじ1 みりん・醤油 各小さじ1 <作り方> よく混ぜたら完成。 NG行動【1日3食決まった時間に食べると決めつけること】 夕食のボリュームが一番多かったり、夜中に動画を見ながらスナック菓子を食べたり、寝苦しくて起きたついでに夜食を食べたり、22時以降にボリュームのある食事をしてしまった場合には、朝に食欲がなくても当然です。 朝食は、体に朝を知らせ体内時計を整え、1日元気に過ごすために重要な存在です。朝食を欠食することは、良いとはいえません。ですが、体に良いからと言って、どのような状況でも朝食を必ず食べなくてはいけないというわけではありません。 毎日の夕飯のボリュームや内容、食べる時間などによって胃腸に負担をかけてしまっていたり、朝食をよく噛まず、パンとコーヒーを作業のように食べることで、一日中胃腸が重だるくなってしまっているような人に限っては、空腹時間を設けることで胃腸を休ませてあげることを考えましょう。無理に食事を摂ることによって、常に胃が重くなり、腸内環境が乱れ、お腹にガスがたまってしまうこともあります。 まずは、夕食の内容や量、時間帯の見直しを行い、朝食を食べることができるコンディションを作るのが先決。夕食は、なるべく揚げ物やラーメン、丼ものなどは控え、消化に負担のないものを選ぶようにし、よく噛むようにして、朝には胃腸がスッキリしていると思えるようにしましょう。 何か調子が悪いと感じるときには、体づくりの基本に戻り、胃もたれしていないか、便通やおならの状態に問題はないかを確認してみましょう。もし、問題がある場合には、空腹になるタイミングを作るために、食べる量を調整してみてください。量を調整するということは、自分にとって必要な栄養を含む食材を選択し、不要と考えるものを減らしていく作業にもなると思います。また、無駄食い防止になるのでダイエットにもなります。夏を健やかに過ごすための栄養が欠損しないようにしながら、胃腸の負担を減らすように調整していきましょう。 そして、自分の体に合った夕食の量や内容で食事を摂ることができたら、体にやる気のスイッチを入れるために、朝食を食べる習慣を身に着けられたら良いですね。急な変化ではなく少しずつ自分の体を健康へと導けるような行動が理想です。そのほかにも心と体を強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)や新刊『だる抜け ズボラ腎活(ワニブックス)』でも紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。 ※食薬とは… 『食薬』は、『漢方×腸活×栄養学×遺伝子』という古代と近代の予防医学が融合して出来た古くて新しい理論。経験則から成り立つ漢方医学は、現代の大きく変わる環境や学術レベルの向上など現代の経験も融合し進化し続ける必要があります。 近年急成長する予防医学の分野は漢方医学と非常に親和性が高く、漢方医学の発展に大きく寄与します。漢方医学の良いところは、効果的だけどエビデンスに欠ける部分の可能性も完全否定せずに受け継がれているところです。 ですが、古代とは違い現代ではさまざまな研究が進み明らかになっていることが増えています。『点』としてわかってきていることを『線』とするのが漢方医学だと考えることができます。そうすることで、より具体的な健康管理のためのアドバイスができるようになります。とくに日々選択肢が生じる食事としてアウトプットすることに特化したのが『食薬』です。 Information <筆者情報> 大久保 愛 先生 漢方薬剤師、国際中医師。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田で薬草を採りながら育ち、漢方や薬膳に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・美容を学び、日本人初の国際中医美容師を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、未病を治す専門家として活躍。年間2000人以上の漢方相談に応えてきた実績をもとにAIを活用したオンライン漢方・食薬相談システム『クラウドサロン』の開発運営や『食薬アドバイザー®』資格養成、食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」シリーズの展開などを行う。著書『心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売1か月で7万部突破のベストセラーに。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『食薬事典(KADOKAWA)』、「食薬ごはん便利帖(世界文化社)」、「組み合わせ食薬(WAVE出版)」、「食薬スープ(PHP)」など著書多数。 公式LINEアカウント@aika ©Igor/Adobe Stock
大久保 愛