50代・関智一さんがなりたかった「格好いい大人」。理想に近づけているかと考えてしまう帰り道も
『ドラえもん』のスネ夫役をはじめ、『鬼滅の刃』の不死川実弥役や『PSYCHO-PASS』狡噛慎也役など、話題作に多数出演し、俳優としても活躍している声優・関智一さんの暮らしのエッセイ。今回は関さんが思う「恰好いい大人」について。 【写真】関さんが食べたもの
夏の日差しのように“ギラギラ”とがんばる若者に思うこと
夏だ! 暑いぞ! 遊ぶぞー! と、勢いよくいきたいところですが、残念ながら僕に夏らしい予定はほぼなく…いつもと変わらぬ通常運転でがんばっております。 しかし、そんななかでも今年の夏はちょいとひと味違いますよ!! 前回のエッセイでも少し書きましたが、ありがたいことに声優や俳優を目指す全国の学生さんたちに、特別講師としてお話しする機会を今年は多く頂いて、北は北海道、南は沖縄まで飛び回っております。 芸事を言葉にするのは難しいなぁ、と悩みつつも曖昧な感覚の部分もできるだけかみ砕いて伝わるよう模索しつつも楽しみ、充実した夏です。 普段から所属するアトミックモンキーの養成所で講師をさせてもらってますが、切磋琢磨する地方の学生さん達に会える機会は、一層のエネルギーをもらえます。なんともぜいたくな時間です。 未来を見てキラキラ、いや夏の日差しのようにギラギラとがんばる若者よ! なりふり構わずがむしゃらに前進あるのみ、その手に夢をつかんでくれ! きっと芝居に夢中になって向き合える時間は、その後の人生にも大きな影響を与えてくれるはずだ! …たぶん! きっと! と、まぁ、これは僕の持論ではありますが。どんな道を選択しようとも、なにかに打ち込んだ、全力でがんばった、という事実は無駄にはならないはず…。先々の人生の糧になってくれるはずだと、私は思っているのです。
芸歴30余年。まだまだ反省することはありますが…
さて、そんながんばる若者を間近にみているとエネルギーを貰う反面、若かりしころの自分を思い出して、懐かしい気持ちになったり、恥ずかしい気持ちになることも。お布団をかぶって「わーっっ」と叫びたくなるような失敗談は数知れず…(笑)。 16歳でお芝居を始めてから30余年。無我夢中で続けて、あっという間に50を過ぎ…今では、“中堅”、“ベテラン”なんて言われますが、まだまだ未熟な僕。 だもんで、講義に参加してくださった皆さまの心に、「ちゃんと届いてるかしら?」「有益な事を伝えられているかしら?」と、不安になることもしばしば。日々是精進なのであります。 新人時代、現場でお会いした格好いい先輩方。あの当時憧れていた、皆さんの様になれたかなぁ、近づけたかなぁ、と考えてしまう帰り道もあったり。 「格好いい大人」 ひと口に言っても、人それぞれ想い描く姿はさまざまでしょう。皆さんはどんな大人が格好いいと思いますか? 僕にとってのそれは、先述した、現場でご一緒させてもらった先輩方や、テレビの中のヒーローたち、反発することはありつつもなんだかんだで父親のことも本当は格好いいと思ってました。 先輩方のちょっぴり破天荒なエピソードも、地球の平和を守るために泥に塗れて戦ってくれるヒーローの姿も、口うるさくも大切なことを教えてくれた父も。皆、その人の「生き様」から感じられる格好よさがあったなぁ、と。